『デンマークのごはん今むかし』ドロッペさんのハーデソーブラー
2016年08月18日 更新▲
こんにちは。ティンドラ・ドロッペです。よく「デンマーク料理ってどんなのですか?」という質問をされます。デンマーク料理って想像がつかないですよね。そこで今回は、伝統的なデンマーク料理に加え、一般的な家庭料理、そして最近ブームになっている食べ物をご紹介します。
『デンマークの伝統料理』
フレンチ、イタリアン、中華のみならず日本では本格的な世界各国のお料理が楽しめます。
馴染みのある国のお料理は、だいたいどんなお料理か知っているし、想像がつきますよね。ではデンマーク料理とは?というと今ひとつ知られていないと思います。スカンジナビア各国の中でも、デンマークはヨーロッパと陸続きですから、その影響も受けたものが多いのですが、デンマーク人に「伝統的な料理は?」と尋ねると、間違いなく返ってくる返事は「SMØRRE BRØD(スメアブロ)」です。スメアブロとは、簡単に言うとオープンサンドのことですが、正式なスメアブロはフォークとナイフで食べます。そして食べる順番はお魚系→お肉系、または冷たいもの→温かいものへと食べ進めます。パンは薄くスライスしてあり、バターを隅々まできっちり塗って、パンが隠れるように具を乗せることが肝心なセオリーです。
パンも白パン、黒パンとあり、あっさりした具には白パン、お肉系の具には重めの黒パンがよく合います。ヘルシー志向の高まりからか、私の周りのデンマーク人は繊維が豊富なライ麦パン(黒パン)を好む人が多いです。
では、写真で見ていきましょう~。季節でも具は変わってきますが、今年6月に撮ったスメアブロをご紹介します。
定義にうるさい友人が作ったニシンのスメアブロ。
①パンは隠れて ②ニシンの時は、バターではなくラードをパンに塗って ③8分のゆで卵 ④ケッパー、タマネギ、ディルのトッピング。 |
オードラップゴー美術館のカフェで 食べたニシンのスメアブロ。 アーリーレッドとラディッシュの盛り付けが美しいです。上記のニシンと比較すると、現代的な盛り付け。 ※黒パンにバターでした。 |
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オーデンセの老舗レストランで 食べた小エビのスメアブロ。 これも定番中の定番。 北欧の小エビは臭みがなく、エビそのものの味わいが楽しめます。 レモンでさわやかに、夏にぴったりのスメアブロです。 ※トーストした白パンでした。 |
定義にうるさい友人が作ったスメアブロ再び。 温かい魚料理“フィスカフィレ(白身魚フライ)” ①パンは隠れて~②魚はひらめ ③中挽きライ麦粉でフライにして ④自家製レモラードとディルをたっぷり ※黒パンチョイス ※レモラードは、カレー風味のマヨネーズタイプの万能ソースで、刻んだピクルスが入っています。 |
オードラップゴー美術館で友人(定義に大らかな)が頼んだタルタルステーキのスメアブロ。 トッピングは、フライドオニオンと・・・。この緑色の植物が不明。 ポクポクした海草のような食感でした。おかひじきかスギナの仲間?とも思いましたが、違いますね。 食べ物、植物に詳しい友人もわからず。聞けばよかったなぁ。 ※黒パンでした |
定義にうるさい友人がオーデンセの老舗レストランで注文したステーク・アッシュのスメアブロ。
これとは別にデンマークには、“フリカデッラ”というハンバーグとミートボールの中間のモノがあり、フリカデッラの方が一般的です。 |
『夏の定番、家庭料理』
6月上旬、久しぶりにデンマークの友人宅を訪れました。「特別なご馳走じゃないけど、夏の定番家庭料理よ。」と言って用意してくれていたのは、お魚のフリカデッラ(お魚ハンバーグ)でした。付け合せには茹でた新じゃがと旬真っ盛りのホワイトアスパラガスです。この時期には、ホワイトアスパラガスの産地がヨーロッパを北上することも必ず話題になります。(スペイン→フランス→ベルギー→ドイツ→デンマーク)もちろん彼らにとっては自国産が一番おいしいという話題になるのですが、旬を味わうのは日本人だけではありません。旬の食べ物は栄養価が高く、その季節に合った働きがあるので、自然と食べたくなるし、なにしろその効果は食べた時の美味しさで証明されるわけです。友人は、ホワイトアスパラガスが私の大好物だということもよく知っています。特別なご馳走じゃないと笑っていますが、お客様としてもてなされるより、大好物と気軽な料理で迎えられる方が、家族の一員のようで私にとっては大変嬉しいことです。
翌日、私の夫が合流しました。彼の初めてのデンマーク訪問をみんなで歓迎。夫はお客様扱いですね。ふだんの食卓、おもてなしの食卓を写真で紹介します。
普通の家庭の普通の晩ごはん。気どった料理でもてなされるより、近況を報告しあい、家族のような関係を再確認できたことが嬉しかった。 | |
裏庭に咲いたローズをテーブルに。 花器は、スベン・ハンマースホイ(画家ヴィルヘルム・ハンマースホイの弟)の作品。 |
次の日のディナー。おもてなしテーブルセッティング。 北欧好きの方はおわかりですね。 ライトはポール・へニングセン テーブル/椅子/カトラリーはアルネ・ヤコブセン お皿はご存知、ロイヤルコペンハーゲン。 グラスは、イッタラ/アイノ・アールト。 |
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おもてなしセッティング、その訳は。 |
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レッグオブラムのつけ合わせは、やっぱり 新じゃが。そして夏らしいギリシャ風のサラダでした。 デザートにはアップルクランッブルのケーキ、季節の果物のスムージーをいただきました。 |
『ヘルシー志向、話題の古代食』
私がデンマークに初めて行ったのは13年前のことです。その当時驚いたのは、パンにバターをびっしりたっぷり塗ることと、ほとんどのお料理がしょっぱい!なのに回りを見ると現地の人たちは、テーブルソルトをさらにパラパラとかけているではありませんか。寒冷地の人たちは、塩分で体を温めるといいますが、これには本当に驚きました。その頃から徐々に、塩や動物性脂肪を減らしましょうという呼びかけはあったようですが、このヘルシー志向はブームになり、今最も話題となっているのが、『PALÆO(パレオ)』です。友人(前出の食の定義にうるさい方)が説明するには、「これはストーンヘンジ(旧石器時代)の食べ物を見直し、健康になるというテーマです。これでプロテインダイエットもできます。」とのこと。またテイクアウト食品やファーストフードは不健康であるといったことを払拭したと付け加えていました。
旧石器時代の食べ物と言ってもピンときませんよね。基本は、農耕が発達する前の自然界の食べ物で、肉、魚、野菜、卵、ナッツなどです。逆にNGなのは、穀類、豆類、乳製品、加工油など人の手が加わったものです。
「人間の遺伝子は旧石器時代から変わらない、祖先と同じものを食べれば現代病にはなりません。」という発想から広まったようです。
『PALÆO(パレオ)』は、デンマークのセブンイレブンで展開中です。レストランや気軽なスタンドもあるようです。今回は食べる機会はありませんでしたが、サラダボウル、ハーブ入りのミネラルウォーターや“ショット”と呼ばれる一気飲みのジュースなど、コンビニで健康が手に入るというのは確かに画期的なことだと思いました。身近にあると健康への意識も自然と高まりますよね。長距離列車の中では、駅弁ならぬパレオ弁を食べている人、けっこう見かけました。
(詳しく調べたい方は「パレオダイエット」で検索してみてください。」
セブンイレブンのフードコーナー。 肉、野菜、果物が中心のメニュー構成。 |
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牛肉とくるみマスタードのフレッシュサラダ | |
ショットと呼ばれる一気飲み健康ジュース。 ジンジャー+りんご+シトラス 風邪気味の時効きそう。 |
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ミントとライム入りのミネラルウォーター |
『PALÆO(パレオ)』のみならず、全体的にヘルシーブームのようで、ルイジアナ近代美術館のビュッフェランチも体によさそうな物が勢ぞろい。何もかもがしょっぱかった10年前に比べたら、全部美味しい!全部食べやすい! ただ、外食は本当に高いです。気軽なランチでもドリンクをつけたら、ひとり3000円はかかります。外食に頼るしかない旅行者には、ほんとうに痛いおいしいデンマークです。
メインのチキンはスチームしたむね肉、魚料理は和食がヒントか?しんじょのようでした。野菜もボイル、マリネなど、豆類と野菜もさっぱりしたカッテージチーズで和えてあるものを多くみかけます。 |
*PALÆO http://www.palaeo.dk/
*パレオダイエット(wikipediaページ)
*ルイジアナ近代美術館 Louisiana; Museum of modern art
*オードラップゴー美術館