『キャンドルと光のお話』ドロッペさんのハーデソーブラー
2016年12月19日 更新▲
こんにちはティンドラ・ドロッペです。
何度かこの北欧コラムでも登場しましたが、今回改めてキャンドルのお話です。大切な人と過ごす時間が増える時期、北欧流を暮らしに取り入れてみてはいかがでしょうか?
北欧の人たちには欠かせないもののひとつにキャンドルがあります。このキャンドル、消費量を世界的に見てもフィンランドが一位、そしてデンマークが二位に続き、押し並べてスウェーデン、ノルウェーも上位国に入ります。
私が親しくしている家庭でも季節問わず、夜は白熱灯の間接照明にキャンドルの灯りで過ごしています。
昨今、日本でもカフェやレストランのテーブルにはキャンドルというところも増えてきました。アロマキャンドルなど、香りと共にリラックスするという使い方も増えてきているようです。こうしたシーン別の使い方だけでなく、北欧ではキャンドルが“暮らし”の中に深く浸透しています。
みんなキャンドルの灯りが大好きです。
北緯55度のデンマークでは完全な白夜にはなりませんが、夏は夜の11時くらいまで明るく、反対に冬は午後3時にはもう夕暮れのように暗くなります。暗くて長い夜が続くというわけです。日照時間が少ない冬は、うつ病を発症しやすいと言われています。この長い冬の夜を心地よく過ごすために、北欧の人たちはキャンドルを上手に使っています。
通りに面した家々の窓から、ほんのりとしたオレンジ色の灯りがもれていると、おとぎ話を1ページ1ページめくるようにシーンが想像できます。キャンドルの灯りの下、食事を楽しみ笑い語らう家族や、食後のお茶を味わいながら本を読みリラックスする人、足元に寝そべる犬、窓辺から外の様子を見守る猫。などなど、まさにホーム・スウィート・ホームがそこに描かれているように感じるのです。
実際に、キャンドルの灯りには精神的な安らぎをもたらす効果があることも明らかになっています。キャンドルの炎は、「1/f(エフ分の1)ゆらぎ」という、小川のせせらぎやそよ風、小鳥のさえずりと同じリズムで揺れています。不規則ながらも心地よく揺れ、またたく様に、人は幸せと安らぎを感じると言われています。
部屋の雰囲気づくりにおいてもキャンドルなしにくつろぎの演出はできません。私が知っているスウェーデン人とデンマーク人にどうしてキャンドルなのか尋ねたことがあります。彼らの答えはこうでした。「蛍光灯ではリラックスできない。あなた蛍光灯で打ち明け話できる?」「キャンドルの方が温かいしステキでしょ。」「煌々と明るい部屋でテレビが勝手にしゃべっている1時間とキャンドルの灯りの中で家族と語らう1時間はどっちが時間の質が高いと思う?。」これは個人的な意見ではなく、北欧に住む私たちに共通している考えや価値観だと付け加えて話してくれました。
気候風土、習慣が違うとはいえ、日本ではまだまだ蛍光灯の方が多く、加えてテレビですね(笑)。だんらんのありかたも違うのかもしれませんが、北欧の人たちは、キャンドルを灯りとして求めていただけでなく、長い冬を快適に過ごすやすらぎ効果を肌身で実感しているのだと思います。
キャンドルの灯りは、時間の流れを遅くし、あたたかさと和みをもって私たちをやさしさで包んでくれる魔法の道具のようです。
そうそう、こういう謂れをご存知ですか?「キャンドルの炎の数だけ天使が舞い降りる。」
大切な人と過ごすとき、テーブルにひとつキャンドルを添えてみてはいかがでしょうか?
*今年も一年、ご愛読ありがとうございました*
2017年たくさんの天使たちが皆さまのもとに舞い降りますように。
tindra droppe