『アドベントのお話』ドロッペさんのハーデソーブラー
2015年11月13日 更新▲
こんにちは!ティンドラ・ドロッペです。
ずいぶん夕暮れが早くなり、寒くなってきましたね。さて、北欧コラムeps2はアドベントのお話です。
『アドベント(降臨節)』とは、イエス・キリストの降誕を待ち望む期間のことで、11月30日に一番近い日曜日に始まり、12月24日のクリスマスイブまでの約4週間をさします。つまり2015年は11月29日~で、この期間は、誰もがクリスマスに近づくのを指折り数えながら心待ちにしています。
アドベントの始まりには、モミや杉の葉を輪にしたアドベントリースを用意し、4本のキャンドルを立てて、4回の日曜日ごとに1本ずつ火を灯していきます。今年は11月29日に1本目を灯し、12月20日に4本のキャンドル全部が灯るというわけです。
他にも1日毎に火を灯す縦長タイプのキャンドルがあります。こちらは、火を灯しておしゃべりに夢中になってしまうと、うっかり2~3日分燃えちゃったよ~ってことになって笑いながら大慌て!「縁起がわるい!わるい!!」と言って火を消すところを見ると、風習ってどこの国も同じように楽しみに大事にされているものだなと微笑ましく、温かい気持ちになります。
クリスマスリースに4本のキャンドルを立てて、 日曜日毎に火を灯すアドベントキャンドル。 写真はデンマークで。2週目の日曜日ですね。 |
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こちらは、アドベントの日数が12月24日まで 1日ずつカウントダウン式に火灯すタイプ。 デンマークでもみかんをよく食べます。 |
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photograph©tindra droppe |
お隣スウェーデンでは、どの家庭でも窓辺に 階段式のアドベントキャンドルが置かれています。 下の段から左右、日曜日毎に点灯。最後の日曜日に 真ん中に灯します。 |
クリスマスツリーに飾り付けをするのもアドベントに入ってからです。街のあちらこちらにモミの木売りが出て、小ぶりのものから、どこに置くのだろうというくらい大きなものまで、街の一角に小さな森が出来たかのような豊富な品揃え。フレッシュな森林の匂いが漂っていて、思わず深呼吸してしまうほどです。
買ったモミの木を車の屋根に乗せて運ぶ人、自転車につないで走る人、仕事帰りのお父さんが抱えてという光景をよく目にします。
早く買うとモミの葉が落ちて散らかるし、クリスマスの頃にスカスカになるのを嫌って、クリスマス1週間前~3日前くらいに買う人が多いようです。
photograph©tindra droppe
街のあちらこちらでクリスマスツリー売りがでます。景観をそこねない場所に市が立つって、さすがの美意識です。
クリスマスのおもてなし準備もこの頃から始めます。「グルッグ」と呼ばれる甘いスパイスワインや、オレンジピール、ナッツ、様々なスパイスが入ったクッキーを焼いて、いつ誰が訪ねてきてもふるまわれます。ジンジャークッキーは有名ですね。
オレンジにクローブ(丁子)を模様のように刺して飾ると、部屋中がクリスマスの香りでいっぱいになります。これは「オレンジポマンダー」といって、リボンなどを巻いて乾燥させ、クリスマスツリーのオーナメントとしてあらかじめ作っておくこともあります。オレンジ&クローブの香りは、こすると匂うグリーティングカードや切手などにも使われていて、まさにクリスマスの香り!
photograph©tindra droppe
ツリーのオーナメントは、オレンジポマンダーの他にも、紅白2枚の紙を組み合わせたハート型のものや、円錐形で中にキャンディーやお菓子を入れられるものを手作りしたり、代々家に伝わるアンティークなものまで、各家庭それぞれに「これじゃなきゃ!」とこだわりがあったり。
クリスマスマーケットではオーナメント売り場は、カラフルで賑やかさと華やかさを添え、人気があります。
photograph©tindra droppe |
クリスマスツリーだけでなく、リースなどもたくさん市に並びます。日本の暮れに注連飾りを売っているのと似ています。右の写真は、アンティークものばかりのクリスマスマーケットで。味わいのある古いオーナメントは素敵です。
アドベントに入ると、とたんにこのオレンジやスパイスの香りやモミの木の香り、お母さんがクッキーを焼く香りなどなど、色々な匂いがクリスマスが近づく気分を盛り上げていきます。きっとこれらの香りは、高揚感と共に安心もできて、心地よくみんなを元気にするのだと思います。
フレッシュなモミの木のツリーを買うのは大変だけど、オレンジにクローブを刺して、今年は北欧のクリスマスの香りを楽しんではいかがでしょうか?
次回は、いよいよクリスマスのお話です。デンマークでは、クリスマスをどのように過ごし、どんなものを食べるのでしょうか!?
どうぞお楽しみに!!