『伝統的なFIKAにお招きいただいて』ドロッペさんのハーデソーブラー
2016年11月21日 更新▲こんにちは。ティンドラ・ドロッペです。今回は前回に引き続き、スウェーデンのFIKAのお話です。伝統的で正式なFIKAのおもてなしは、日本の『馳走』の精神に似ているとお話しました。数年前になりますが、ご縁あってステキなご夫妻にお招きいただいた時の様子をご紹介します。
お招きくださったのは、ベンクトおじいちゃんと奥さまのエイヴォルおばあちゃん。元校長先生だったベンクトおじいちゃんの家は、ミッドセンチュリーを彷彿とさせるモチーフがいたるところにちりばめられ、家具や壁もダークな色合い。インテリアには「SVENSKT TENN」に見られるような花や鳥柄のスウェーデンならではのテキスタイルが、効果的に使われています。スウェーデンのトラディショナルなインテリアスタイルの見本のようなお部屋でした。
昨今雑誌やネットに登場するスタイリッシュなスウェーデンのお宅は、明るいお部屋が多いですが、ちょっと重ためのインテリアも、これはこれでザ・スウェーデンといった感じで、素敵です。
ご夫妻の名入りのナフキンでテーブルセッティングされたダイニング。おもてなしの始まりです。
アドベントももうすぐという時にお邪魔したので、シャンデリアにも、赤い♡のドイリーが飾ってありました。手作りのあしらいがかわいいですね。
まずはオープンサンドからスタート。なんと5種類も!そしてみごとな盛りつけ。どれから食べるか迷います。そんなに食べられな〜イとか言いながら、おいしすぎて全種類いただいてしまいました。このご夫妻を紹介してくれた知人が耳打ちをします。「まだまだ、これから本格的、伝統的FIKAのお菓子が出てきますよ!!」。
その耳打ちに、せっかく用意していただいたのに、食べ切れなかったらどうしようと不安がよぎりましたが、このおもてなしに応えたい、本物の味を知りたいという欲もあり・・・。
エイヴォルおばあちゃんお手製のお菓子が次々と出てきます。
これは、「トスカカーカ」というアーモンドのケーキ。しっとりした素朴なケーキです。
お皿は、ローストランドの「Mon Amieモナミ」。
エイヴォルおばあちゃんはご近所でも評判のお菓子づくりの名人。オーダーが来るそうです。このトスカカーカは、王室御用達にできるのではないか!?というほどおいしかったです。
そして、チョコレートケーキにシナモンロール。スウェーデンのおやつの定番です。
そしてそして、とっておきのお菓子はこれ!!
このお菓子、『Studentmössa ストゥデントモッサ』卒業の帽子という意味で、高校生が卒業する時にかぶる帽子のことです。卒業シーズンの街では、この帽子を被った高校生たちをよく見かけます。
このストゥデントモッサは、カリッとしたメレンゲ菓子で、マカロンの親戚のような感じです(餡ははさまず、マカロンより硬い)。作ってみたいと思い、レシピをお尋ねしたのですが、焼くのに時間と手間とコツがいるそうで、名人と呼ばれるエイヴォルおばあちゃんでも、時々うまくいかない時がある程難しいと聞き、断念しました。メレンゲは繊細な上に、生地の休ませ具合や、オーブンに入れてカリっかりになるまで10時間くらいかかるのだとか。それに、卒業の帽子そっくりですもんね。
私の残念ぶりが伝わったようで、少しおみやげにいただきました。
「正式なFIKAは7種類。昔はみんな手作りしたのよ。いつ誰が来てもさっと出せるように、常備していたの。今の若い人たちは、全部買ってきて済ませるけど・・・実は私も今回少しだけ買ってきて7種類ににしたのよ笑。」とエイヴォルおばあちゃん。
いえいえ、ほんとうに大満足の大感激ですよ!
おばあちゃんの手作りの味って、国は違えどどこか懐かしく温かく感じるのは一緒で、とびきりの愛情を感じるものです。これだけ用意するのにどれだけの手間隙がかかったでしょうね。何日も前から考えて、準備して、部屋を整えて温めて。お客様と一緒に過ごす時だけがおもてなしなのではなく、相手の喜ぶ顔を想像しながら、丁寧に準備を重ねる。おもてなしは数日前から始まっているのですよね。ベンクトおじいちゃんとエイヴォルおばあちゃんの真心が本当にありがたく、楽しく過ごさせていただきました。
最後に、ベンクトおじいちゃんに教えてもらったクリスマスのおまじない。
左の手のひらにクッキーを載せて、右手をグーにしてポン!とクッキーを割ります。割れた数だけ願い事が叶うのだとか。私はきれいに3つに割れました。みなさんもこのクリスマスにぜひやってみてくださいね。