『輝く季節!北欧の夏。その1・お花編』ドロッペさんのハーデソーブラー
2016年06月16日 更新▲こんにちは。ティンドラ・ドロッペです。ただいま北欧は夏真っ盛!美しい季節の到来を喜んでいるのは人だけではありません。北欧コラムでは2回に渡って、北欧の夏の様子をお届けします。その1はお花編。北欧に暮らす人々の自然との向き合い方をお話します。街歩き花図鑑もお楽しみください!
北欧の夏は、自然のすべてが最高の美しさを見せ、生命の輝きと力強さが一斉にあふれ出す季節です。寒くて暗いふさぎがちな冬から開放され、誰もが待ちわびた輝く季節となりました。夏の到来を喜んでいるのは人だけではありません。鳥たちは到る所でさえずり、花々は楽園のように咲き誇ります。花も鳥もまぶしい太陽も、人々の幸せ気分を盛り上げ、北欧の夏の輝きを一層豊かなものにしてくれるのです。
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6月のコペンハーゲンは、朝4時くらいから外が明るくなってきます。美しい小鳥の鳴き声とやさしい眩しさで自然に目が覚めるのは、清々しくとても気分のよいものです。輝く朝を迎えると、「今日もいい一日にしよう!」と自らの活力も目覚めます。「こんなにお天気が素晴らしいのに家にいるなんてもったいない!」たしかにそう思うほど、美しい朝なのです。
身支度を整え、アパートを出て1歩を踏み出すと、目に鮮やかな色彩が飛び込みます。毎日がどんよりと暗い冬とは対照的に、突き抜けるほど澄みきった青い空が広がります。私は北欧の冬も嫌いではありませんが、夏があまりにもカラフルなので、冬の景色がモノクロで思い出されるほどです。住んでいる人にとってはなおさらのこと。冬は家で過ごすことが多く、気分もふさぎがちな毎日ですから、夏がどれほど愛おしいか計り知れません。
さて今日も、次々に描かれる飛行機雲を見上げながら、散歩に出かけます。
コペンハーゲンの市内を歩いているだけでも、多種多様な種類の花を見かけ、街全体が植物園のようです。
◆コペンハーゲンまち歩き花図鑑
※花の名前はドロッペの知識と現地の人に教えてもらったものです。間違いがありましたらご了承ください。
ニセアカシア |
エルダーフラワー |
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リンデン |
ブバリア |
アストランティア |
ローズ |
ヤマアジサイ |
ジギタリス |
ハニーサックル(すいかずら) |
オダマキ |
ショウキウツギ |
ヤマボウシ | レースフラワー | ライラック(5月末頃まで) |
教会、公園、ちょっとした広場など
緑のグラウンドカバーにも白い小さな花で
いっぱいになります。
6月は街路樹、庭木で多く見られるニセアカシアとエルダーフラワーが清楚な白い花をたわわにつけているのを頻繁にみかけます。
私の友人は、毎年6月の半ば、家族でエルダーフラワー(西洋ニワトコ)を摘み、シロップ作りをすると言っていました。日本の梅仕事のようですね。ここ数年、日本でもコーディアルなどを見かけるようになりましたが、ヨーロッパでは昔から万能薬としても馴染みがあり、魔よけとして庭に植える人も多く、少し郊外へ足を延ばせば自生しているものもよく見かけます。
エルダーフラワー
免疫力を高め、風邪や花粉症に効果があるスーパーハーブです。
コンビニ、スーパーで商品化されたものもよく見かけます。
エルダーフラワー味のビール | エルダーフラワーのジュース |
★★★
北欧には「自然享受権」という法の文化があります。その土地が誰の所有であっても、損害を与えなければ誰でも入って、花を摘んでもきのこやベリーを採ったりできます。たとえそこが王室の所有であってもです。
これは旅行者も含めて、誰もが自然を分かち合える権利で、遡ることバイキング時代からの慣習です。デンマークでは「自然保護法」で明文化されています。権利が与えられれば義務もあり、小さな子どもの内から自然とのつき合い方を学びます。それはバスや電車の乗り方を覚えるようなことと同じように自然維持の義務を身に着けるのです。
美しく咲いた花の周りに柵や注意事項などを見かけることは皆無です。そう思うと日本は「入ってはいけません」など注意書きのなんと多いこと。注意書きがなければ秩序は保たれないのでしょうか?
こういった古くからの慣習・道徳が引き継がれていることこそ、現在の北欧が持続可能な社会に向けての先進国である所以ということは言うまでもありません。
長く厳しい冬をのり越えた後、短い夏の楽園を謳歌すること、自然の中にいて自然の恵をいただくこと、この根底にあるのは「みんなで分かち合う」という考え方です。
美しい自然を来年も見ることが出来るように。未来の子ども達も見ることが出来るように。自然の前で人々は謙虚にふるまう。北欧に暮らす人たちは、人も自然の一部であることをよく知っています。
次回の北欧コラム・ドロッペさんのハーデソーブラーは『輝く季節!北欧の夏。その2・太陽と共に』をお送りします。