特集:フィレンツェ
2014年01月22日 更新▲Firenze / Elescir 「あの辺り」と君が指をさす。 上の空だった僕には 何のことだか分からない。 君の顔を覗いて 疑問符を投げかける。 溜息を吐いた君の指先が 再びこの街のどこかを示す。 眺めが気に入ったのだろう。 僕はとりあえず頷く。 すると君は思いのほか喜んだ。 こんな曖昧さのせいで僕は 後々大変なことになる。
Summer vacation 2006 in Italy -Firenze- / skyseeker Summer vacation 2006 in Italy -Firenze- / skyseeker Summer vacation 2006 in Italy -Firenze- / skyseeker Il duomo di Firenze / .v1ctor Casale
イタリア・トスカーナ地方の中心都市、フィレンツェ。 断言するが、この街を歩くことは、芸術作品の一部になることである。 想像力さえあれば、物語の主人公として街角に佇むことが可能である。自身の見かけなど、この際どうでもよい。ルネサンスの薫る美しき街フィレンツェにおいて、それは許される空想であり、心に浮かぶ優雅な世界を禁じることなど、誰にもできない。
フィレンツェ観光は、4つの地区を知ることから始まる。中心地ドゥオーモのある「サン・ジョバンニ地区」、中央市場に近い「サンタ・マリア・ノヴェッラ地区」、ダ・ヴィンチら巨匠の作品が鑑賞できる「サンタ・クローチェ地区」、メディチ家最大のピッティ宮殿のある「サント・スピリト地区」・・・。地区の名は、その地の代表的な教会の名で表され、住民の誇り高いエリア意識が見え隠れする。
奇数と偶数が片側ずつに並んだ番地、そして一般住宅を表す黒(ネロ)と、店舗等を表す赤(ロッソ)の色分け表示も、フィレンツェならでは。旅人には不規則に感じる表示さえも何故か楽しめてしまうのが、この街の持つ力である。 賑わう街には、よからぬ輩もそれなりに多い。気分よく空想している間に大切なものを奪われぬよう、心して佇んで頂きたい。