特集:ブルネイ・ダルサラーム国
2013年10月16日 更新▲BSB at twighlight / NeilsPhotography
絵葉書なんて、君らしくない。 これはあくまで僕の直感だ。 しかし何度みても差出人欄には 君のしなやかな文字が並んでいる。 いつもなら荷造りを急ぐ僕が 君の意図を考え続ける。 藍の闇に輝くモスクは 僕の部屋に貼られたまま 幾つもの朝を迎える。 もう君は、ブルネイを発ったのだろうか。
Mosque in Brunei / chem7 Hawkers, Sellers / BPheonix Prawns Thermidore / Reeda jame Asr Hassanil Bolkiah Mosque – Brunei / heatherbell2011
東南アジアのカリマンタン島(ボルネオ島)をご存知だろうか。面積は日本の国土の約2倍。グリーンランドやニューギニア島に次ぐ、世界で3番目に大きな島だ。
そんなカリマンタン島の北部に位置するのがブルネイ・ダルサラーム国である。通称ブルネイ。首都はバンダルスリブガワン。聞き慣れない上に、なんだか舌を噛みそうな名前である。
ブルネイは原油や天然ガスという地下資源で潤う国だ。東南アジアの中でもトップクラスの豊かさを誇り、かの有名な君主ハサナル・ボルキア国王は、世界有数の資産家として知られる。国民ひとりひとりの生活水準も高く安定しているため、不満も噴出しにくいという。
しかもブルネイでは教育や医療費は無料。個人所得税も課税されない。まるで天国のようだが、これが資源に満ち満ちた国の現実である。
そして、生まれながらに恵まれている人が概してそうであるように、ブルネイの人々は穏やかな性格である。比較的治安が良く、移住や留学を視野に入れる人が多いのもそんなところに理由がある。
現在は、資源に依存し過ぎない国づくりにも取り組むブルネイ。石油や天然ガスを原料にしたメタノールの製造や、食料自給率を上げるためのハイブリッド米導入、またイスラム教国としてハラル製品(イスラム法で合法と認証された製品)製造の拠点も目指す。
ブルネイ・ダルサラームという長い国名の意味は「永遠に平和な国」。贅の限りを尽くしたこの国に、身を任せるもよし、厳しいまなざしを向けるのもよし。いずれにせよ、近いうちに最初の一歩を踏み出してみるべきである。