2020.12月号の編集部だより #小さなシアワセの積み重ね
2020年11月25日 更新▲みなさま、こんにちは。
三度目の波が押し寄せている今日この頃です。数の積み上げだけが声高に報道されると、不安も広がりますが、みなさまにおかれましては、どうぞご自愛ください。でも私たちに出来ることは、正しく恐れて出来る予防をやっていくことしかないですね。個人的には「気が緩んだ」とかの話ではないように思いますが。
さて、そんなわたくしの11月は、珍しく三度も小旅行に出かける機会に恵まれました。Go To Travelは使わず、3カ所とも気軽に行ける近場ではありますが、[①ひとりで。][②まぶな友人と。][③仲間と。]という具合に、シチュエーションが違っていました。近場であっても日帰りであっても旅は旅。それぞれに趣が異なっていて、しみじみ面白いと思いました。今年は、近所の山へ行き、動画を撮っては編集するという作業にハマってしまったというとことでもあります。
記録用に編集した動画のサムネが信号のようになりました笑
ひとりで行った筑後・高良山では、いろいろな方に声をかけて頂きました。近場の低山登山でも私にとってはとても勇気のいることでしたが、すれ違う人たちの優しさに触れ、言葉をかわす度に心が洗われ、元気玉をいただくとはこういうことなのかと思ったり。下山時には、景色もよく歩きやすいけれど「スズメバチ注意」の警告があるルートと、アップダウンのある尾根ルート(来た道)の分岐点で、どこからか紳士が現れ、「私が先に歩いて、もしスズメバチがいたら払いながら合図するので、途中まで一緒に下りませんか?」と。なんとエスコートのお申し出。お蔭様で景色も見えて、写真なども撮りつつ、スズメバチに襲われることもなく無事に下山することができました。
優しき紳士の後をついてゆく(高良山)
2番目の旅、まぶな友人とのお出かけは、わたくしの失敗から始まりました。電車を乗り継ぎ、とあるビール工場の見学に行こうと計画を立てたのですが、なんと予約がないと!! 「そんな筈はない、通話の履歴も残っているし」などのやりとりの後、私が予約をしたのは工場ではなくレストランということが判明。コロナで人数制限があるとのことで、残念ながら工場見学はできませんでした。この間、友人は笑みをたたえて、私がヒートアップしないように和ませ、そして理不尽な対応がないか耳をすまし、相槌を打ってくれていたのでした。諦めるしかない私たちは、急きょノーアイデアのまま太宰府天満宮へ向かいます。見知った場所はほっとするし、改めて福岡県民の心のふるさとだと思った次第。そして天満宮のさらに上に天開稲荷社があり、初めてお参りさせていただきましたが、なんともその紅葉の美しいこと。私たちは季節の移ろいの中に招かれ、日本の色を大いに楽しんだのでした。何度となく来ている場所でまだ見ぬ場所あったことを知り、そして最も美しい時に来れたのは、素晴らしいタイミングで、この友人があっての巡り合わせでした。相手の気持ちを思いやり、前向きに気持ちを切り替えていく。良き友を持ったものです。
天開稲荷社
(この2km程先に今空前の聖地とされている竈門神社があります。)
3番目の旅は、元々は登山の予定でしたが、私の足の怪我により予定変更。。山の中腹にある由緒正しき寺院に大楓を見にいくことに。ところが今年は例年より早く大楓だけ紅葉が終わり、全て落葉してしまったとのこと。真っ赤に燃える大楓を期待していましたが、少し残念です。庭は赤銅色の絨毯を敷き詰めたよう。葉を全て落とし、幹と枝だけの姿になっても大楓の存在感は圧倒的です。
雷山 千如寺大悲王院の大楓
12月に入ればその絨毯もなくなり、周りの木々たちも追って落葉するでしょう。一瞬として同じ姿はない諸行無常とはこういうことでしょうか。途中は割愛しますが、最後にはこの夕景です。こちらも刻々と色が変わっていきます。
日本の夕陽百選 桜井・二見浦
旅は距離を稼ぐものではなく、価値観に基づいた幸福を得るものと、今更ながら気づかされました。世界のどこかの誰かにとっては、ここはとても遠い所なわけで、こんな出会いがあったり、そんな景色が見れたら、よい思い出になるのはみな同じだなと。もちろん、旅程が長ければそのプロセスも楽しいけれど、もしかしたらそれは誰かにとっては、単なる移動でしかないかもしれないし。やっぱり価値観は質を左右する大事なものだと思うのです。
コロナになって自由な往来はできなくなったけれど、もし次に遠出が出来ることがあれば、今回のように「ひとりで」出会いを楽しんでみたり、連れがいる時には、もっとその人の良いところを見つけたいし、どこへ行っても、目の前で今起っている事象は一瞬のもので、同じものはひとつとしてないことを味わいたいと思ったのでした。ささやかな日常もまた価値観に基づく幸福感の積み重ね。小さなシアワセを毎日ふくらませながら、この波を乗り切っていきましょう。
それではみなさま、また来月〜
(編集部anan)