2021.10月号の編集部だより【何もしないことは難しい?】
2021年09月25日 更新▲みなさまこんにちは。
雨が多く、夏らしい日々をあまり感じずに、すっかり秋になりました。本来であれば、外に出かけるには身も心も気持ちのいい季節ですね。9月末を目処に緊急事態宣言も解除の方向のようですが、少しずつコロナ禍の出口は見えてくるでしょうか。
さて、今月の特集「アフターコロナ旅のトレンド /地方都市【行ってみたい田舎町・美しい町、かわいい村】は、いかがでしたか? 行ってみたいなと思う所はありましたか?
今回取り上げた所に限らず、地方の町や村は期待して訪れると、これまで旅に刺激を求めていた人にとっては「なんだこれだけ?」「何もすることがない」と言ったつまらなさが気持ちを埋めてしまうかもしれません。今までの感覚で行くと、自然の中に身を委ねる心地よさや、新しい発見や喜びに気づけず大変もったいない旅になってしまうかもしれません。
テレビやパソコン、そしてスマホなど何かしら情報収集のツールが傍にある日常に慣れてしまうと、自分の目で見て、感じたり考えたり、自ら掴みにいくという体験が減っているように思います。スマホをいじることは習慣となり、手の内にないと不安や手持ち無沙汰を感じてしまいます。そう、何もしないことが難しくなっている。
私自身の体験のお話で恐縮ですが、外国の小さな漁村を訪れた際、人っ子ひとりいない静まり返った日(祭日)に行ってしまったり、また別の機会では、森の中で人を待つといったシチュエーションがありました。当然ながら携帯はつながらないし、コンビニなんかあるはずもない所です。その時は、ひとり手持ちぶさたで、身の置き所のないような感覚に陥りました。仕事に追われていいる日々の感覚でいると、「時間の無駄」「何かをしてなくてはいけない」という強迫的な観念に囚われていることに気づかされました。人生の中で、そんな静かな体験が何度あるでしょうか。そして、そこで何も感じない、見つけられない自分でいたくないという思いもあり、そこに身を置いていること自体を受け入れてみる。それもいいかもしれないと思え、年月が経つとよき思い出となっています。
アフターコロナの旅では「何もしない」ということが、またひとつ旅のテーマになる。それもなるべく人との接触を避けて。旅を通してまた、価値観や時代の変化を感じる時がもうそこまで来ているように思います。
海外旅行に何を求めるか。それを考えるところから次の旅が始まっているかもしれませんね。
それではまた来月〜
(編集部anan)