2026.10月号 編集部だより【旅行前に知っておきたい、最近のスリの手口】
2026年09月24日 更新▲ヨーロッパの観光地では、スリや置き引きへの注意が欠かせません。特に人の多い駅や市場、観光名所、公共交通機関では、ほんの一瞬の隙を狙われることがあります。
実は私自身も、かつてパリのクリニャンクールの蚤の市で、スリに遭ったことがあります。スリが多い場所だと分かっていたので警戒はしていたものの、それは本当に一瞬の出来事でした。その時は、目の前で起きたことに対応するのが精一杯で、「今、スリに遭った」とは全く気づきませんでした。しばらくしてバッグが妙に軽くなっていることに気づき、そこで初めて「やられた」と分かったのです。
幸い、貴重品は別にしていたため大きな被害にはなりませんでしたが、決して気分の良いものではありませんでした。あとから何度も、「どこからこうなった?」「いつ触られた?」と記憶をたどっても、手口が鮮やかだったとしか言いようがありません。スリは、こちらが油断している時だけに起きるとは限りません。警戒していても、注意を別の方向へ向けられたり、人に囲まれたり、何かに対応している隙をつかれたりすると、気づかないまま被害に遭うことがあります。今回は、旅行先でよく見られるスリの手口と、その対策についてご紹介します。

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■ よくあるスリの手口
スリの多くは、バッグに手を入れて財布を抜き取るという単純なものばかりではありません。複数人が役割を分担し、こちらの注意を別の方向へ向けている間に、別の人物が貴重品を盗むケースもあります。
たとえば、服に飲み物やケチャップなどを付けて「汚れていますよ」と声をかけ、拭くのを手伝うふりをしてバッグから財布を抜く手口。電車や駅などでわざと身体をぶつけたり、急に話しかけたりして注意をそらす手口。小銭や物を床に落として拾わせ、その隙に荷物を盗むケースなども報告されています。
また、人の多い地下鉄やバス、駅のホーム、観光地、市場などでは、数人で旅行者を囲むように近づき、混雑に紛れてバッグのファスナーを開けたり、ポケットから財布やスマートフォンを抜き取ったりすることがあります。
親切そうに荷物を持つのを手伝ってくれたり、道を教えてくれたりする人が、必ずしも悪意を持っているわけではありません。ただし、見知らぬ人が必要以上に近づいてきた時や、突然こちらの注意を引く出来事が起きた時には、まず自分のバッグや貴重品を意識することが大切です。
■ 「何か起きた時」こそ、バッグを意識する
私自身の経験から強く感じるのは、スリを警戒するというと、「怪しい人が近づいてこないか」「バッグに手を入れられないか」と周囲を見ることばかり考えてしまうということです。しかし実際には、犯人そのものよりも、突然起きた出来事に意識を奪われることがあります。
服が汚れた、人にぶつかられた、何かを落とした、知らない人から話しかけられた――。そんな時は、その出来事への対応と同時に、「バッグは閉まっている?」「スマートフォンや財布はある?」と確認する習慣をつけておくと安心です。
■ 貴重品は一か所にまとめない
万が一被害に遭っても、旅を続けられるようにしておくことも大切です。現金やクレジットカードをすべて一つの財布に入れず、複数の場所に分けて持つ。パスポートや予備のカードなどは、普段出し入れする財布とは別にする。外出時には必要以上の現金や貴重品を持ち歩かない、といった工夫も有効です。
バッグはできるだけ身体の前側で持ち、ファスナーの開口部が見えるようにしておきましょう。レストランやカフェでも、椅子の背もたれにバッグを掛けたり、足元に置いたまま目を離したりせず、常に自分で管理することが基本です。
■ せっかくの旅だからこそ、少しだけ意識を
スリの話ばかりすると、海外旅行が少し怖く感じられるかもしれません。でも、旅先でずっと緊張していては、せっかくの時間を楽しめません。大切なのは、必要以上に怖がることではなく、「こういう手口がある」と知っておくこと。そして、何か予想外のことが起きた時に、ほんの一瞬だけ自分のバッグや貴重品にも意識を向けることです。
スリは一瞬。でも、ちょっとした知識と習慣で防げる可能性は高まります。楽しい思い出だけを持ち帰れるよう、旅行前にぜひ一度、ご自身の荷物の持ち方や貴重品の管理方法を確認してみてください。

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旅先では、知らない土地への好奇心や楽しさから、普段より注意が散りやすくなるものです。そこに、混雑や声かけ、突然の出来事が重なると、一瞬の隙が生まれてしまいます。大切なのは、ずっと緊張して過ごすことではありません。「こんな手口がある」と知っておくこと、そして何か予想外のことが起きた時に、バッグや貴重品にも意識を向けることです。
貴重品を分散して持つ、バッグは身体の前で管理するなど、少しの工夫でも安心感は大きく変わります。せっかくの旅ですから、必要な備えをしたうえで、あとは思いきり楽しみたいですね。楽しい思い出だけを持ち帰れるよう、出発前にぜひ一度、荷物の持ち方や貴重品の管理方法を見直してみてください。
それではまた来月〜
(編集部anan)