クレオパトラに思いを馳せる図書館
2014年02月13日 更新▲
Bibliotheca Alexandrina / D-Stanley
ペーパーレスの時代に「書物」という響きは、どことなく古い。カビ臭ささえ感じる。
しかしながら、手に取ったときの、あのずっしりとした重みは、知の重さでもある。信頼に足るかどうかは別として、この重量感こそが書物の魅力だといってもいい。
紀元前300年頃、プトレマイオス1世は世界中の知識を結集させる目的で、エジプトにアレキサンドリア図書館を建設した。そこには、文学のみならず医学や数学、天文学といったあらゆる学問が集結し、科学者アルキメデスなど多くの学術者の活動に貢献したといわれる。
もちろん印刷技術のない時代。書物の収集は、港に着く船から書物を一時没収し、手書きで写していたのだという。アレキサンドリアを愛した才女クレオパトラも本好きで知られる。彼女が世界中の学者を呼んで写本させ、図書館の蔵書を充実させたという話もある。
Inside Bibliotheca Alexandrina (2007-05-031) / Argenberg
しかし、何といっても紀元前の話である。長い年月の中で書物は朽ち、戦火や略奪等で消失することになる。そんな歴史を経て、2002年に再建されたのが、新しいアレキサンドリア図書館である。
建物のどこからでも海が見える設計の近代的な様相のアレキサンドリア図書館。自然光が差し込む明るい館内には、40万冊(最終目標は800万冊)の蔵書が、誰かに何かを授けるのを心待ちにしている。開館時間は曜日によって異なるが、閉館は午後7時30分。 プラネタリウムや古代エジプトを知る博物館等も併設している。
腕がだるくなるほどの重みは、おそらく無意味ではない。いつの時代も、書物を手にすることをためらってはいけない。