食品ロスを減らしましょう【個人・家庭でできること】
2022年04月19日 更新▲まだ食べられるのに、捨てられてしまう食べ物のことを「食品ロス」といいます。日本では、1年間に570万トン(※農林水産省・環境省 令和元年度推計)、国民一人当たり毎日ご飯もの食料が捨てられているのをご存知でしょうか? これは国民1人当たり、お茶碗約1杯分(約124g)の食べもの”が毎日捨てられていることになります。
食べ物を捨ててしまうのは、誰もがもったいないと感じ、罪悪感も覚えるものです。そして、食品ロスは、地球環境にも悪影響が。それぞれができることから実践できるよう、食品ロスを減らすための取り組みをお伝えします。
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世界では9人にひとりが栄養不足、飢餓に苦しんでいます。その食糧支援量は、2020年で年間約420万トン。日本の食品ロスの量、570万トンとは、実に世界中の食糧支援量の1.4倍に相当します。また、食料廃棄量を世界で見ると、年間約13億トンにもなり、人の消費のために生産された食料のおおよそ3分の1を廃棄しています。先進国では余った食料がまだ食べられるのに捨てられているのが現状です。驚きのロス量と思いませんか?
また、開発途上国でもまた、先進国と同様に食品ロスが発生しています。ただし、理由は異なり、せっかく食べ物を作っても技術不足で収穫ができない、流通環境や保存設備、加工施設などインフラが整っていないため、市場に出回る前に腐ってしまうなどの理由からやむをえず捨ててしまう事が多いのです。
なぜ食品ロスが起きるのでしょうか?
日本での食品ロスの原因は、大きく分けて2つあります。一つは、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなど小売店での売れ残りや返品、飲食店での食べ残し、売り物にならない規格外品といった事業系食品ロス(309万トン)。もう一つは、家での料理の作り過ぎによる食べ残しや、買ったのに使わずに捨ててしまうこと、料理を作る時の皮のむき過ぎなどの家庭系食品ロス(261万トン)です。
出典:農林水産省及び環境省「令和元年度推計」
<家庭で食品ロスが出る原因>
出典:政府広報オンライン
どんな課題があるのでしょうか?
日本の食料自給率は37%と先進国の中でも低く、多くの食べ物を海外からの輸入に頼っています。しかしながら、多くの食品ロスを生み出しているという状況は、社会全体で解決していかなくてはならない課題の一つです。
<環境への影響>
食品ロスを含めた多くのごみを廃棄するため、ごみ処理に多額のコストがかかっています。また可燃ごみとして燃やすことで、CO2排出や焼却後の灰の埋め立て等による環境負荷が考えられます。
<経済的観念>
経済の観点では、食料を輸入に頼る一方で、多くの食料を食べずに廃棄している状況は無駄があります。人や社会への観点では、多くの食品ロスを発生させている一方で、7人に1人の子どもが貧困で食事に困っている状況です。
食品ロスを減らすには
<家庭でできること>
||買い物前に確認を||
冷蔵庫に食材があることを忘れ、同じものを買ってしまい余らせてしまうことはありませんか?
事前に冷蔵庫や食品庫にある食材を確認し、事前に作る料理を考えておいたり、足りないものをメモに取ってから買い物に出かけるようにしましょう。
||必要な分だけ買う||
安くなっていたり、まとめ買いでお得になっているものに、ついつい手が伸びてしまいがち。いつか使う、食べると思っていても、思い出した時には期限が過ぎてしまい、捨ててしまうことはありませんか? まとめ買いはストッカーの中で貯まり、買ったことも忘れていることがあります。必要な時、必要な分だけ買ったほうがお得な場合もあります。
||てまえどり||
スーパーで買物をする際、陳列の奥から期限の長いものを買うことはありませんか? より新鮮なものを買いたい気持ちはありますが、すぐ使う食品は棚の手前から取りましょう。期限が短かったり、切れてしまうと、お店で廃棄や業者に返品となってしまい、お店での食品ロスが発生してしまいます。
||残っている食材から使う||
新しく買ってきた物を先に使ってしまうと、残っている食材は傷んでしまう可能性があります。残っている食材から使いきるようにしましょう。
||食べ切れる量を作る||
家族の予定や体調など、コミュニケーションをとって、食品ロスがでないように工夫しましょう。作り過ぎや余ってしまった時は、リメイクやアレンジレシピで食べきりましょう。
||保存方法を知る||
野菜は、冷凍や乾燥の下処理をして、使いやすい量に小分け保存をしておくと、食材を長持ちさせることができ、また便利に使えます。誤った方法で保存すると、食品の劣化が早くなる場合があるので、保存は正しい方法で、食品をおいしく食べきりましょう。
<外食でできること>
||食べ切れる量を注文する||
「ごはんは少なめで」とひと言伝えるだけでもロスを減らせます。小盛りメニューやハーフサイズを活用し、食べられる量だけ注文しましょう。またそういった相談ができるお店を選ぶこともポイントです。
||残してしまった場合||
どうしても残してしまう場合は、持ち帰って食べるのか検討し、また、持ち帰った後に食べられるものか、食品衛生上もお店と相談しましょう。もったいないからと持ち帰って、食べずに捨てるのでは意味がありません。また、時間が経過した食品で食中毒になっては元も子もありません。細菌をつけないように手や容器をしっかり洗浄し、料理が冷めてから詰めて早めに帰宅しましょう。持ち帰る際は、からしやわさびなどを活用して、細菌の増殖を抑制したり、家で食べる時は、再加熱することも大切です。
||人が集まる席では||
今は、宴会の機会は少ないですが、お開き前にもう一度料理を食べきる時間を設け、幹事は「食べきり」を呼び掛けましょう。
SDGsにおける食品ロス削減への取り組み
SDGsのターゲットの一つに、「2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の1人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食料の損失を減少させる」という目標(ターゲット12.3)が盛り込まれました。食品ロスの削減を通じてこのターゲットを達成するには個人、事業者、自治体、NPO法人など、さまざまな方面からの協力が欠かせません。
参考サイト
農林水産省 食品ロスの現状を知る
政府広報オンライン もったいない!食べられるのに捨てられる「食品ロス」を減らそう
消費者庁 食品ロスについて知る・学ぶ