|海・川|夏の水難事故を防ぐ【お役立ちコラム】
2021年07月24日 更新▲暑い時期に特に注意が必要なのが水の事故です。2003年から2020年までの水難事故の発生を見ると、梅雨が明けた7月と、夏休みになる8月に多発しています。新型コロナウイルス感染拡大防止のため閉鎖される海水浴場もあり、ライフセーバーや監視員等の不在による救助の遅れなども懸念されます。
また、海水浴場に行けず、河川に遊びに行くケースが増えると予想されていることも水難事故発生の懸念のひとつともなっています。たとえ目的がバーベキューで海辺や河原に行く時にも、注意が必要です。海や川などそれぞれの自然環境の特徴を理解し、水難につながりやすい危険な場所、危険な行為などを知っておくことが重要です。
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海での注意点
1. 安全管理が行われた所でのみ遊泳する
新型コロナウイルス感染拡大防止のため開設しない海水浴場もありますが、 ライフセーバーや監視員等がいるなど適切に安全管理が行われている海水浴場で、指定された遊泳エリア内であることを確認して泳ぎましょう。
海には、深さなどによって水温の変化が大きい場所や、流れの激しい場所、海藻が茂っていて遊泳者に絡みやすい場所などがあります。こうした危険な場所は、「危険」「遊泳禁止」などと表示されています。
必要に応じて、ライフジャケットを使用しましょう。遊泳禁止となっている場所では、絶対に泳がないでください。
2. 天候・潮・風向きに注意する
海の状況は、日ごと、時間ごとに変化します。風の向きや波の高さ、満潮か 干潮かをしっかり確かめてから入りましょう。
岸に近いところでも、沖へ流れるとても速い潮の流れ(離岸流)があったり、急に深くなる場所があったりします。また、同じ場所であっても、天候や潮の満ち引きによって変化することがありますので注意しましょう。
3. 子供だけでは絶対に遊ばせない
水深が浅い場所でも、ほんのちょっと目を離したすきに、子供が転倒して溺れたり、波にさらわれたりすることがあります。幼児はもちろん、泳げない子供などが水遊びするときは、大人は Keep Watch を心がけ、 子どもから目を離さずに手の届く範囲で見守りましょう。
4. 知らないと怖い!離岸流に注意する
離岸流(リップカレント)とは、沖に向かって発生する強い流れのことです。波は沖から海岸へ打ち寄せますが、海水はどんどん岸に貯まるので、どこかから沖に戻ろうとします。この時、岸から沖の方へ向かって一方的に流れる速い流れのことを離岸流(リップカレント)と呼びます。
日本ライフセービング協会によると、海水浴場において溺水事故の60%がリップカレントによるものです。河口付近、堤防沿い等の人工物付近、岩場など 離岸流が発生しやすい場所には入水しないでください。
5. 健康状態が悪いときやお酒を飲んだときは泳がない
体調が優れないときや睡眠不足で疲れているときは、水泳や釣りなどは控えましょう。体に負担がかかり、事故につながる危険が高くなります。適度に水分を補給し、日陰で休息するようにしましょう。飲酒後や飲酒しながらの水泳や釣りも、事故につながりやすく危険ですので、絶対にやめましょう。
6.ライフジャケットを着用する
釣りをするときやボートに乗るときなどは、ライフジャケットを必ず着用しましょう。ライフジャケットは、体のサイズに合ったものを選び、正しく着用しましょう。堤防の縁からのぞき込まないようにしましょう。立入禁止区域に は絶対に入らないでください。
また、万一、事故が起こったときの連絡手段を確保するため、携帯電話を防水パックに入れて携行しましょう。
川での注意点
川などでのレジャーでは、魚とりや釣り、水遊びやボート遊びなどのほかに、河原でのバーベキューなど、必ずしも水に入ることを目的としない楽しみ方もあります。そのような川などのレジャーでも、毎年のように水難が発生しています。海での注意点に加えて、河川では以下のことに注意しましょう。特に子供は河川での事故が多いため、絶対に一人では遊ばせないようにしましょう。
1. 川の地形を知り、急な増水に備えるために
川の流れは一見穏やかに見えても、地形などの影響で流れが一定ではないこともあります。川の状態は、曲がり方、傾斜、川幅、岩の突出などの地形によって、右岸、左岸でも川の流れが違っていたり、川底に深みがあったりするため急に流されたり、深みにはまったりする危険があります。
また、上流の天候などによって大きく変化し、安全と思われる場所でも、上流で豪雨などがあると急に増水し、水難につながる危険があります。事故の多くは穏やかそうな流れで起きています。必ず滑りにくく脱げにくいかかとのある履物を履き、ライフジャケットを着用して近づきましょう。
2003~2020年の18年間に、川や湖沼等で水遊び、釣り、遊泳、レジャー、散策、通行中など、様々な状況で発生した水難事故のうち、新聞記事やWEBニュース情報から把握できた2907件の水難事故の内容と事故発生地点の位置情報を表示しています。
2. 出掛ける前に天気や川の情報をチェック
川などに行く前に、天気や川の情報をチェックしましょう。悪天候が予想されているときは、無理をせず、中止・延期を検討しましょう。また、上流にダムがある場合は水量や水の需要に応じて放水することがあり、その場合は急激に増水することがあります。
全国のリアルタイム雨量・水位などの情報を提供しています。
→川の防災情報(国土交通省)
川辺にいるとき、次のような変化が見られたときは、川の水が急に増えるサインです。すぐに避難しましょう。
上流(水が流れてくる方)の空に黒い雲が見えたとき
雷が聞こえたとき
雨が降り始めたとき
落ち葉や流木、ゴミが流れてきたとき
3. 危険を示す掲示板、水流が速い・深みがあるところは避ける
川では、「危険を示す掲示板」が設置されているところがあります。そうした掲示板がある場所では遊ばないようにしましょう。また、川の地形は複雑であり、同じ川でも場所によって川の流れが速くなっていたり、急に深くなったりする場所があります。そのようなところには近づかないようにしましょう。
◆ダウンロードして活用しましょう
→水辺の安全ハンドブックWEB用PDF(子どもの水辺 サポートセンター)
https://www.kasen.or.jp/Portals/0/pdf_mizube/mizubehandbook_01.pdf
4.ライフジャケットを着用する
たとえ浅い川でも急に増水することがあるため、ライフジャケットを必ず着用しましょう。特に河川では、水面下に複雑で強い流れがあります。途中で脱げてしまわないように、ベルトを締めるなど正しく着用し、身体にしっかりフィットさせましょう。
5.豪雨・台風などのときは、くれぐれもご注意を!
中小河川や用水路などでも、多くの水の事故が発生しています。集中豪雨などのために、ごく短時間のうちに水位が急上昇して水があふれ出し、川沿いの公園や道路にいた人が押し流された事例や、あふれた水のために河川や用水路の位置が分かりにくくなり、足を踏み外して流されてしまう、といった事例が起きています。
毎年水難事故は起きています。「これくらい大丈夫。」「自分は大丈夫。」といったむやみな過信をせず、楽しさは安全を確保してからと心得ておきましょう。
出典サイト
・政府広報オンライン「水の事故、山の事故を防いで海、川、山を安全に楽しむために」
・消費者庁ニュースリリース令和3年7月7日
「もうすぐ夏本番!外出先での子どもの水の事故に御注意ください! 」