これまでなんとなくマイナスイメージが強かった長時間の乗り継ぎ時間。最近ではサービスが充実してきて、上手に使えば、お得なこともあるんです。航空会社、ハブ空港でどんなサービスがあるか集めてみました。
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日本各地の空港から、国際線LCCも発着するようになり、海外旅行はますます安く身近に感じられるようになりました。東京・大阪など主要国際空港からの発着で直行便で行くこともできるし、お住いから最寄りの空港から、例えば韓国・ソウルまでの路線があるなら、仁川国際空港で乗り継ぎ、目的地まで行くことも可能です。LCC含め、最安値で格安航空券で旅行となると、途中、乗り継ぎまでの時間が長時間になることがあります。何時間待つか?その時間を見ただけで、気持ちが萎えてしまい、数万円高くても乗り継ぎの良い航空券にしたことはありませんか?
最近では、長時間の乗り継ぎ客に対して航空会社によっては、え!?ここに書いてあることほんと?と疑いたくなるような、太っ腹なサービスを提供している航空会社も出てきました。またハブとなる大きな国際空港でも、無料のサービスが充実し、かなずしも乗り継ぎ=マイナスイメージではなくなりつつあります。目的地到着までの時間がかかっても、経由地で市内観光などできると、ちょっと楽しく、なんか得した気分になるかもしれません。
まず用語からおさらい
「〇〇の空港でトランジット」と、乗り継ぎを指して使うことがあるかもしれません。でも空港の案内板には「トランスファー」の表示に順って進みます。他にも「ストップオーバー」「レイオーバー」「オープンジョー」聞いたことがあると思います。それぞれ本来はどんな意味があるのでしょう。
トランジット
トランスファーとの明確な意味の違いは、本来、経由地で一度飛行機を降りて、また同じ飛行機に乗って目的地へ行くことをトランジットと言います。機材は同じ。飛行機は経由地で給油や機内食・水などの補給を行い、また新たな乗客を乗せて出発します。乗客は、機内で待つこともあれば、トランジットカードを渡されて、一旦飛行機を降り、トランジットホールで待つこともあります。この場合の所要時間は30分から1時間です。
*1 機材が変わっても、同じ航空会社の飛行機の乗り継ぎではトランジットと呼ばれることがあります。一般的にトランジットと言えば「乗り継ぎ」を指し、トランジットツアー、トランジットホテルといった乗り継ぎ客向けのサービスでトランジットという言葉が使われています。直行便がない場合の24時間以内の乗り継ぎのことをトランジットと呼ばれています。みなさんの認識もこれではないでしょうか?
*2 長時間のトランジットでも、空港外から一切出られない場合もあれば、空港外で宿泊する時に一時的な通過査証(トランジットビザ)が発給される国もあるので、注意が必要です。
トランスファー
トランスファーの本来の意味は、「乗り換え」です。飛行機に限らず、交通手段の乗り換えはトランスファーになります。空港で別の飛行機に乗り換えることをトランスファーと言います。上記*1に記述した内容は、厳密に言えばトランスファーになります。ここがややこしい元ですよね。
乗り換える空港で飛行機を降りて、別の便に乗り換える人は、「Transfer」の案内に添って移動しますね。ゲートと搭乗時間の確認ができるようになっています。
ストップオーバー/レイオーバー
ストップオーバーは、24時間を超えて経由地に滞在することを言います。各航空会社が発券する航空券の種類によって、ストップオーバー1回無料といったものもあれば、5000円程度の追加料金を支払って、ストップオーバーを可能にするものもあります。ストップオーバーを使えば、複数都市を周遊したい場合は、便利なチケットということになります。
レイオーバーも同じ意味で、こちらは米語表記です。ストップオーバーは英語表記となります。
オープンジョー
オープンジョーとは、往復航空券のうち、往路の到着地と復路の出発地が異なることを言います。JALの説明を引用すると、行きは東京からロサンゼルスに到着し、鉄道やバス、またはローカル航空会社を使ってアメリカを横断し、最終地ニューヨークから直行便で東京に帰国する場合。このような周遊をオープンジョーと言います。
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それではどんなトランジットサービスがあるのでしょう。
航空会社のサービス
■カタール航空
カタール航空は、ワンワールドのメンバーでJALとも提携。ハブとなるハマド(新ドーハ)国際空港からは145都市に就航しています。スカイトラックス社が行う航空会社の格付けでは、「エアライン・オブ・ザ・イヤー2017」で世界第一位を獲得しています。
条件が合えば、ドーハ国際空港での乗り継ぎがお得。ドーハ乗り継ぎでヨーロッパ方面、アフリカ方面へ、一度は乗ってみたい航空会社です。
乗り継ぎが5時間以上あれば、無料で市内観光ができ、8時間以上となると、ホテルでシャワー・仮眠をとってのリフレッシュが可能です。トランジットサービスの詳細は→こちら
カタール航空では、ドーハ国際空港の乗り継ぎ時間が長い場合、お待ちの間に滞在いただけるホテルをご提供させていただきます。*
ホテルをご利用いただくお客様には、入国ビザ、ホテルへの送迎、条件に応じ一部のお食事をご提供させていただきます。
- 8時間以内の乗り継ぎ便が運航していない場合。(ご予約便以外に8時間以内の運航便が有る場合は対象外となります)
- 乗り継ぎ時間が8時間以上、24時間以内の場合。
- アブダビ(AUH)、バーレーン(BAH)、ドバイ(DXB / DWC)、クウェート(KWI)、マスカット(MCT)、ラアス アル ハイマ(RKT)およびシャルジャ(SHJ)発着便を含まない旅程。
ご利用運賃により、ホテルサービスをご利用いただけない場合がございます。詳しくはお問い合わせください。
* ホテル手配のお申し込みは、航空券発券後、適用日(ホテルご利用日)の72時間前まで(土、日、祝日を含まない3営業日前まで)にお申し出ください。
ドーハ市内観光
当プランは上記ホテルサービスとは異なります。
ドーハ、ハマド国際空港に04:00~19:00の間に到着されるお客様で、乗継時間が5時間以上12時間未満のお客様を対象に無料のドーハ市内観光(約2時間45分)がございます。
引用:http://www.qatarairways.com/jp/jp/transit-accommodation.page
■ターキッシュエアラインズ(トルコ航空)
トルコ航空は、スターアライアンスメンバーに加盟し、ヨーロッパ、アジア、アフリカ、北米、南米の 113 か国以上、全世界で 287 以上の地点を結び、どの航空会社よりも多くの国、都市へ就航しています。機内食やエンターテインメントなどサービス面での口コミもかなり高い評価を得ています。
トルコ航空にも、6時間以上のトランジットで市内観光のサービスがあります。また、乗り継ぎが最短で10時間以上、同日の乗り継ぎができない場合にトランジットホテルサービスがあります。しかも4星ホテルなのだとか! 細かく条件がありますので、確認してくだいね。
ターキッシュエアラインズ(TK)ご利用でフライトスケジュールにより、同日国際線から国際線へお乗り継ぎできない場合には、イスタンブールでのトランジットホテルサービスを無料でご利用いただけます。
ただし、ご利用にはいくつかの条件がございますので以下をご覧ください。
ご利用手順
イスタンブール空港に到着し、入国審査を通過後、荷物を受け取り、到着ロビー右手奥のホテルデスクにお進みください。
トルコ航空と提携している市内のホテルにミニバスでご案内いたします。
注意点・ご利用条件:
・日本語のご案内はありません。
・必要乗り継ぎ時間
ビジネスクラス:7時間以上
コンフォートクラス/エコノミークラス:10時間以上
・イスタンブール到着時刻から一番早いトルコ航空便を乗り継ぎ便としてご予約・ご購入いただく必要がございます。
同日同路線で複数便がある際はご注意ください。
乗り継ぎ時間が最短である必要があります。
・乗り継ぎ便が最短でない場合、任意の途中降機(ストップオーバー)とみなされ、当サービスはご利用になれません。
・ホテルへの事前予約及び選択はできません。
・トルコ航空のホテルデスクに航空券及び搭乗券をご提示ください。
・他社便をご利用の場合は当サービスはご利用いただけません。
・航空券の種類により、ご利用いただけない場合がございます。
引用:https://www.tokutenryoko.com/news/update/1080
イスタンブールでの乗り継ぎ時間が 6 時間以上あれば、TourIstanbul を利用してイスタンブール観光ができます。詳しい情報についてはこちら→Touristanbul
無料ツアーの参加対象になるための条件
①イスタンブール経由の国際線チケットを持っていること
②乗り換えが9時~18時の間で6時間以上空いていること
ツアーには9~15時、12~18時、9~18時の3種類あり、これらはフライトの時間によって決まります。また、ツアーは全て英語のガイド付きで日本語はありません。
イメージ:Basilica Cistern
こちらもご参考ください。
地球の歩き方 ワンナイト・イスタンブール トルコ航空ならではのサービスを体験
http://www.arukikata.co.jp/webmag/2012/rept/rept59_09_120100.html
■中国東方航空
上海に拠点を置く、中国で2番目に大きい航空会社です。アジアやヨーロッパ、オセアニア、アフリカ、北アメリカの200以上の都市への国際線を提供し、中国・地方都市への国内線も充実しています。口コミではあまり良い評価を見かけませんが・・・。
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日本各都市から中国東方航空を利用して、中国国内各都市または中国以遠の海外各都市(第三国)へ旅行されるお客様に対し、乗継空港での各種サービスを提供しています。
上海浦東空港での乗継時間が4時間以上のお客様(上海浦東空港→上海虹橋空港への移動が伴う場合は6時間以上)
ミールクーポン(食事券)
足裏マッサージ
リニアモーターカー(片道乗車券)
詳しくはこちら
http://www.chinaeastern-air.co.jp/travel/transit/service/index.html
ストップオーバーが無料の航空会社
フィンエア、エミレーツ航空、エティハト航空、シンガポール航空、エールフランス航空、エア・カナダなども、ストップオーバーが無料もしくは格安で可能です。ストップオーバーを有効活用すれば、アジアとヨーロッパなど一度で2度美味しい旅行ができます。
トランジットの慌ただしさより、日程に余裕がある方はストップオーバーの方がいいでしょう。
例えばフィンエアは5時間から5日間までストップオーバー無料。東京、名古屋、大阪、福岡からヘルシンキに就航し、ヨーロッパへの飛行時間としては最短です。ヘルシンキでストップオーバーして、ヨーロッパ各地へお出かけが可能です。詳しくはこちら→https://www.finnair.com/jp/jp/stopover
ハブ空港のサービス
■ソウル・仁川国際空港
サービスでは世界一位を獲得しているアジア最大級の国際空港で、大韓航空とアシアナ航空のハブ空港です。
無料シャワー、休憩エリア(リクライニングチェア)インターネット、ショッピングまで
空港内で過ごすことになっても、充実した設備があります。またトランジットツアーに参加することも可能です。トランジットの時間でサクッと美容整形を受けたり、健康診断を受けることも可能なところが驚きです。
乗り継ぎ便出発の2時間前までには、空港に帰ってきてくださいね。
○韓国伝統文化センター
気軽に韓国伝統的な工芸を体験でき、作ったものはお土産として持ち帰ることができます。
7:00〜21:00 所要時間:各20~30分 スケジュール表で確認しましょう。
○トランジットツアー
ターミナル1F中央のトランジットツアーデスクで申し込みをする。
所要時間1時間、2時間、3時間、3.5時間、5時間と細かく設定があります。
■台北・桃園国際航空
台湾の玄関とも言える台湾最大の国際空港で、チャイナエアライン、エバー航空、タイガーエア台湾がハブ空港として使用しています。こちらのトランジットツアーは所要時間が5時間、午前と午後コース違いで2回開催されています。
○無料トランジットツアー(所用時間:5時間)
到着ロビーにある「観光局旅客サービスセンター」で受付
ターミナル1 7:00〜23:30
ターミナル2 5:30〜24:00
乗り継ぎ時間が7時間以上24時間以内の方、パスポートの残存期間が6ヶ月以上ある方が条件です。
詳しくはこちら→http://jp.taiwan.net.tw/tour/index.htm
いかがでしたか?条件はあるものの、意外と知らなかったサービスがあることがお分りいただけたでしょうか。トランジットサービスは、他にもまだまだありそうですね。LCCも参入して価格競争のみならず、サービス向上のため、これからますます増えてくるのではないでしょうか。
チケットを手配する時、長時間の乗り継ぎ時間でもがっかりから一転、ラッキーなこともありますから、よく調べて一度で二度美味しい海外旅行の達人を目指してくださいね。