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海外での食中毒・感染症予防【夏休み海外旅行特集2】

2018年06月18日 更新▲

もうすぐ夏休みの海外旅行シーズン到来です。海外では日本との環境の違いにより、様々な感染症があります。原因も媒介するものも様々。予備知識を持っておくことで、安全で快適に楽しい旅行となります。海外で注意すべきことをお知らせいたしますので、ご旅行予定の方は、ぜひご一読下さい。

★★★

1.食べ物・水による食中毒

 

画像:iStock

 

日本の水は、安全で水道水の水が飲めるのですが、これは世界では本当に稀なことです。日本では九州の一部と沖縄を除き、ほとんどの地域が軟水ですが、海外では多くの地域が硬水です。また、水道インフラが整っていないことも原因の一つで、必ずしも衛生的ではなく、安心安全な軟水に慣れた日本人は、海外の水に抵抗力がなく、水アタリを起こしてしまいます。(一部、北欧や中東のお金持ちの国は、水道水の水が飲めますが、事前に調べましょう。)

海外での水分摂取は、ミネラルウォーターを飲むようにしていても、レストランや屋台で出された水、サラダなどの生野菜を洗った水、歯磨きやシャワーの時の水でもあたってしまうことがあります。ジュースに入った氷にも注意しなければなりません。

また、アジアなど路上の屋台で売っているものは、ウイルスや雑菌など衛生上の問題や、火を通していても食用油でも食中毒になることがあります。
途上国旅行の日本人が、滞在中に下痢症を起こす割合は、1ヶ月間で20〜60%に登るというデータもあります。ホテルにウェルカムフルーツは、皮を剥いてから食べる、テーブルに置きっ放しのケチャップやソース類は使わないなども予防になります。

 

画像:iStock

 


食中毒になってしまったら

 

原因となる菌やウイルスによっても潜伏期間が異なり、食べ方にもよりますが、早くて、だいたい30分くらいで症状が出ることがあります。長い場合は8日間、つまり帰国後に発症する場合もあるんですね。症状のほとんどが、下痢や嘔吐。トイレから出られなくなり観光が一切できなくなった例も少なくありません。持参した下痢止めを飲む場合、体の中に菌が留まることになり、返って長引く結果となることがありますので、きついですが体の排出反応にまかせて、ひどい場合は現地で受診しましょう。脱水になりやすいので、飲むのがきつくても水分摂取は大切です。

 

画像:iStock

 

 

ここからは、感染症についてです。

渡航先の国や地域、感染症によっては予防接種が義務付けられている場合があります。滅多にないだろうと思っていても、油断は禁物です。訪れる国や地域では、日常的に感染者が出ている場合もあります。特に熱帯・亜熱帯地域での蚊を媒介とする、マラリア、デング熱、最近日本でもニュースで取り上げられ感染拡大が懸念された麻しん、風疹などには注意が必要です。筆者も知り合いから、インドで犬に噛まれたという話を聞かされた例もあります。日本で撲滅に至った感染症は、特に私たちの意識も薄くなり、また、帰国後に発症してしまうと、治療薬がすぐに手に入らないといったこともあります。どのような感染症があるか、知っておくことは決して無駄なことではありません。

 

2. 食べ物や水が原因の感染症

 

◼︎ E型肝炎 
主な発生地域:世界各地 
主な症状:発熱、倦怠感、黄疸
予防策:十分負の通った食べ物を食べる。生肉は食べない。

◼︎A型肝炎、赤痢、腸チフス、コレラ 
主な発生地域:世界各地(特に水道整備が整っていない地域)
主な症状:A型肝炎の症状は、発熱、倦怠感、黄疸。赤痢は、発熱、激しい腹痛と血便を伴う下痢。
     腸チフスは、下痢、持続的な高熱と頻脈、倦怠感。コレラは、大量の水様便、嘔吐、
     脱水。
予防策:十分負の通った食べ物を食べる。生水は飲まない。
※A型肝炎は予防接種有

 

3. 蚊が媒介となる感染症

 

マラリア 

マラリア原虫を保有した蚊(ハマダラカ)に吸血された際に感染する。毎年世界中で約2億人の患者が発生し、約43万人以上の死亡者がいると報告されています。

主な発生地域:
アジア、中南米、アフリカなど熱帯・亜熱帯地域に広く分布。なお、近年、マラリア制圧に成功していた、韓国でも、国内感染例が確認されている。夜間は特に注意。

主な症状:
マラリア原虫の種類により異なるが、7日以上の潜伏期ののち、寒け、発熱、息苦しさ、結膜充血、嘔吐、頭痛、筋肉痛など。迅速かつ適切に対処しなければ重症化し、死亡する危険がある。

予防策:
長袖、長ズボンを着用し、素足でのサンダル履き等は避ける。虫除け剤や蚊帳等の使用により蚊に刺されないように注意する。特に、夜間の屋外での飲食や外出時に注意する。2週間以上流行地に滞在し、野外作業等に従事する場合は、抗マラリア薬の予防内服を行うことが望ましいとされている。

 

◼︎デング熱 

ウイルスを保有する蚊(ヤブカ類)に吸血された際に感染する。 世界中で毎年約5,000万~1億人の患者が発生していると考えられています。

主な発生地域:熱帯・亜熱帯地域(アジア、オセアニア、アフリカ、中南米、中東)昼間は特に注意

主な症状:
2~14日(多くは3~7日)の潜伏期ののち、突然の発熱、激しい頭痛、関節痛、筋肉痛、発疹など。デング熱患者の一部は重症化してデング出血熱やデングショック症候群を発症することがある。

予防策:
長袖、長ズボンを着用し、素足でのサンダル履き等は避ける。媒介蚊は日中、都市部の建物内外に生息しているので、屋外だけではなく屋内でも虫除け剤の使用等によって、蚊に刺されないように注意する。室内の蚊の駆除を心がける。

 

◼︎チクングニア熱 

ウイルスを保有する蚊(ヤブカ類)に吸血された際に感染する。

主な発生地域:東南アジア、南アジア、アフリカ、中南米、昼間は特に注意

主な症状:
2~12日(通常4~8日)の潜伏期ののち、突然の発熱、激しい頭痛、関節痛、筋肉痛、発疹など。関節痛は急性症状消失後も数か月続くことがある。

予防策:
蚊帳の使用、虫除けスプレーやローションを使用する、長袖・長ズボンの着用。室内での蚊取り線香の使用など。

 

◼︎ジカウイルス感染症 

ウイルスを保有する蚊(ヤブカ類)に吸血された際に感染する。妊娠している、又は、妊娠している可能性がある方は、流行地域への渡航を控えることが推奨されます。

主な発生地域:東南アジア、南アジア、アフリカ、カリブ海諸国、アメリカ大陸、太平洋諸国、
       昼間は特に注意
主な症状:
潜伏期間は2~12日(多くは2~7日)である。症状は発熱(多くは38.5度以下)、発疹、関節痛等で、デング熱やチクングニア熱の症状に類似している。デング熱やチクングニア熱と同様に、ウイルスに感染しても症状がないこともある。
妊娠している女性がジカウイルスに感染した場合、母体から胎内の赤ちゃん(胎児)にジカウイルスが感染(垂直感染)し、小頭症などの先天性障害を起こすことがある。

予防策:
蚊帳の使用、虫除けスプレーやローションを使用する、長袖・長ズボンの着用。室内での蚊取り線香の使用など。

 

◼︎黄熱 

ウイルスを保有する蚊(ヤブカ類)に吸血された際に感染する。主な媒介蚊はネッタイシマカである。ブラジルでは、継続的に黄熱が発生しており、特に12月から7月にかけ流行期に入ります。世界保健機関(WHO)により、ブラジルは黄熱に感染するリスクのある国とされており、大西洋沿岸の一部地域を除くほぼ全域が黄熱ワクチン接種推奨地域に指定されています。

主な発生地域:アフリカ、中南米、昼間は特に注意

主な症状:
3~6日の潜伏期ののち、主として発熱、頭痛、悪寒、筋肉痛、背部痛、悪心・嘔吐などの症状が出現する。黄熱患者の一部は重症化して、ショックや多臓器不全に至る場合がある。

予防策:蚊帳の使用、虫除けスプレーやローションを使用する、長袖・長ズボンの着用。室内での蚊取り線香の使用など。
※発生地域では予防接種必須

 

︎ウエストナイル熱 

ウイルスを保有する蚊(主にイエカ類)に吸血された際に感染する。媒介する蚊は多種類に及ぶ。北米地域だけで例年数千人の患者が報告されています。北米地域での流行は、例年蚊の活動が活発になる7月頃から始まります。

主な発生地域:北アメリカ、ヨーロッパ南部、アフリカ、中東、アジア

主な症状:
2~14日(通常1~6日)の潜伏期ののち、発熱、激しい頭痛、関節痛、筋肉痛、背部痛、発疹などの症状が出現する。感染者の一部は脳炎を発症する。

予防策:蚊帳の使用、虫除けスプレーやローションを使用する、長袖・長ズボンの着用。室内での蚊取り線香の使用など。

 

◼︎日本脳炎

主な発生地域:アジア
主な症状:高熱、昏睡(痛みや刺激に反応しない)、意識障害、頭痛
予防策:蚊帳の使用、虫除けスプレーやローションを使用する、長袖・長ズボンの着用。
    室内での蚊取り線香の使用など。
※予防接種有

 

4. 人から感染

注意すべき病気

◼︎麻しん(はしか)

麻しんウイルスは、簡単に人から人に感染する(空気感染、飛沫感染、接触感染などの様々な経路で感染する)。 感染力は非常に強く、免疫が不十分な人が感染すると高い確率で発症する。

主な発生地域:
世界各地(特にアジア、アフリカ、欧州)麻しんは特に感染力が強く、世界中で発生の報告がみられる。

主な症状:麻しんに対する免疫が不十分な人は、感染すると約10日後に発症する。したがって、海外渡航者においては、海外で感染した場合でも、帰国後1週間以上たってから発症する場合もある。発症すると、高い熱や全身の発しん、せき、鼻水、目の充血が現れる。肺炎や中耳炎になることがあり、患者1,000人に1人の割合で脳炎が発生すると言われている。

予防策:
麻しんは感染力が強く、空気感染もするので、手洗い、マスクのみで予防はできない。麻しんの予防接種が最も有効な予防法といえる。海外渡航を計画している場合、定期予防接種対象者*だけではなく、麻しんにかかったことがない方、麻しんのワクチンを2回接種していない方は、予防接種を検討することを勧める。

 

◼︎風しん

飛沫感染、接触感染。多くがアフリカ及びアジア諸国からのものである。風しんの排除宣言がされている国々でも輸入感染事例が見られる。

主な発生地域:世界各地(特にアジア、アフリカ)

主な症状:
感染から14~21日の潜伏期間の後、発熱、発疹、リンパ節腫脹(耳介後部、後頸部)が出現するが、発熱は風しん患者の約半数にみられる程度であり、不顕性感染が15~30%程度存在する。基本的には予後良好な疾患である。風しんに対して免疫が不十分な女性が特に妊娠初期に風しんに感染すると、風しんウイルスが胎児に感染し先天異常を呈する先天性風しん症候群(CRS)が生じることがある。

予防策:
麻しんと同様に、予防接種がもっとも有効な予防方法である。海外渡航を計画している場合、定期予防接種対象者*だけではなく、風しんにかかったことがない方、風しんのワクチンを2回接種していない方は、予防接種を検討することを勧める。

 

︎ポリオ

経口感染(感染者の糞便中に排泄されたウイルスが、口から体内に入る)。

主な発生地域:中東、アフリカ

主な症状:高熱、麻痺、時に下痢

予防策:手洗い励行

※30年以上にわたり、日本国内で野生株によるポリオ症例は発生していませんが、パキスタン、アフガニスタン、ナイジェリアでは発生が報告されています。
 旅行等でポリオ流行地域へ渡航後、出国時に上記のように予防接種証明書の提示を求められることがあります。

 

 

4. 動物から感染

︎狂犬病

動物(アジアでは特に犬)に咬まれること。アメリカ大陸ではコウモリに咬まれて狂犬病ウイルスに感染し、狂犬病を発症して死亡する事例が報告されている。なお、北米ではアライグマ、スカンク、キツネ等、東ヨーロッパでは、キツネ、タヌキ等、アフリカではジャッカル、マングース等、韓国ではタヌキ、中国と台湾ではイタチアナグマといった野生動物で狂犬病が流行しており、注意が必要である。

主な発生地域:世界各地(特にアジア、アフリカ)

主な症状:
通常、1~3か月の潜伏期間ののち、発熱、咬まれた部位の知覚異常が現れる。恐水、恐風症状などの特徴的な症状の他に、神経症状(不安発作、嚥下困難(飲食物が飲み込みにくくなる)、けいれん)が見られる。有効な治療方法はなく、ほぼ100%死に至る。

予防策:
犬等(猫、野生動物を含む。特に飼い主の分からない動物。)にむやみに近付かない(特に小さなお子さんを動物のそばで一人にさせない)。もし犬等に咬まれたり引っかかれたりした場合は、傷口を石けんと水でよく洗い、速やかに現地の医療機関を受診し、適切な処置を受けた上で、狂犬病ワクチンの接種について医師に相談する。狂犬病発生地域(アジア、アフリカ等)に渡航し、動物と頻繁に接触する場合や地方(農村部等)で野外活動を行う場合は、渡航前に狂犬病ワクチンの接種を受けておく。
※感染動物に咬まれた直後に狂犬病ワクチンの連続接種を開始することで、多くの場合、発症を防ぐことができます。

 

︎鳥インフルエンザ

感染した家きんやその臓器、体液、糞などとの濃厚な接触。

主な発生地域:東南アジア、アフリカの一部地域、中国

主な症状:
1~10日(多くは2~5日)の潜伏期間ののち、発熱、呼吸器症状、下痢、多臓器不全など。

予防策:農家、市場、動物園などの鳥類との接触を避ける、手洗い、うがい

 

◼︎MERS(マーズ)

中東のヒトコブラクダがMERSコロナウイルスを保有している。特に子どものヒトコブラクダは高濃度のウイルスを保有している。そのため、ラクダとの接触や未殺菌乳の喫食が感染リスクである。またヒトからヒトへの感染は医療機関や家族において、濃厚接触によって起こる。咳による飛沫により感染すると考えられる。

主な発生地域:中東、アラビア半島及び周辺諸国。中東に渡航して感染した人(輸入症例)やその感染者に接触したことにより感染した人が報告されている。

主な症状:発熱、呼吸器症状、時に下痢

予防策:
動物との接触を避ける。特に糖尿病や心臓病等の慢性的な病気の患者や、高齢者は、中東で病院に行くことやラクダに乗ることをできる限り避けるべきである。

引用:厚生労働省 ゴールデンウィークにおける海外での感染症予防について

★★★

世界各地で見られる感染症は、これだけではありません。ご旅行前には必ず、渡航地域の情報を確認しましょう。また、海外で医療機関を受診すると、高額になるケースがほとんどです。海外旅行に行かれる際は、海外旅行保険のお申し込みをお忘れなく。

 

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