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『夏至の前夜には魔力がひそむ!?』ドロッペさんのハーデソーブラー

2016年05月12日 更新▲

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  こんにちは。ティンドラ・ドロッペです。入梅間近となりましたね。日本では、じめじめと過ごしにくい季節となりますが、北欧の6月は、1年の中で最も輝く季節となり、夏至のお祭りが各地で盛大に行われます。今回は、スウェーデンとデンマークでの夏至祭を見てみましょう。夏至の前夜の魔力って!?

 

『夏至の前夜は魔力が潜む。』
これは北欧諸国で、今も残る言い伝えです。例えばスウェーデンでは、夏至の前夜から翌朝にかけて夜露を集め、これを万病の薬としたり、動物達がしゃべる夜とも言われています。そしてなんともかわいらしい言い伝えも。7種類(地方によっては9種類とも11種類とも)のお花を摘んで、枕の下に入れて眠ると未来のダンナ様と夢で会えるといいます。このおまじないは密やかなるもので、お花摘みを誰にも知られてはいけないそう。スウェーデンの友人に「お花摘みのおまじないをしたことある?」と尋ねると、「もちろん!スウェーデン人の女なら、うら若き頃に一度や二度、みんなやってるわ!」という回答でした。そして夢に見た人が今のパートナー?かと聞くと、大笑いになり女子トークが弾みます。

 

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私も摘んでみました。6月のデンマークにて
(写真上)
一年の健康と恋の成就を願って、花冠を編んで
頭にのせます。(写真右)

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誰もが心を弾ませる夏至祭は、スウェーデンやフィンランドでは、毎年6月19日から26日の間の、夏至に最も近い土曜日Midsommardagen(ミッドソンマルダーゲン)とその前日Midsommarafton(ミッドソンマルアフトン)と合わせて2日間が祝日(移動祝日)になります。

スウェーデンの夏至祭は北欧諸国の中でも特に盛大で、草花で飾った白樺の木「メイポール(マイストング)」を町の広場に立てるところから始まり、五穀豊穣を願ったこのメイポールを囲み、歌い踊りながら回ります。この時期、スウェーデン中部ダーラナ地方へ行くと、老若男女が民族衣装に身を包み、花冠を頭に載せた人々で賑わう伝統的な夏至祭を見ることができます。
首都ストックホルムでも、スカンセン野外博物館へ行けば、伝統的な夏至祭に参加することができますから、6月にスウェーデンへとお考えの方は、スカンセン野外博物館は見逃せません。ぜひぜひ行ってみてくださいね。

 

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そして、家族・親戚・友人と親しい人たちが集まり、夏至を祝った食事も楽しみのひとつ。
ディルで茹でた新じゃがや、ニシンの酢漬け、サーモンやミートボールと共に、大人はアクアヴィット(じゃがいもの蒸留酒、アルコール度数40度以上)を一気にあおり、盛り上がります。

 

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midsommar8  日は長く、夜でも明るい。
太陽の光を存分に浴びながら、
みんなで食事におしゃべりに興じます。

 

さて、お国変わってお向かいの国デンマークでは、同じ文化圏でもその習慣は違っていて、6月24日を「サンクト・ハンスの日」とし、クリスマスから半年後に生まれた聖人を讃え、豊穣を祈る日としています。
人々は公園や水辺に集まり、焚き火の儀式を見守ります。夏至前夜に最も活発になるという“魔”を焼いて追い払うのです。場所によっては、焚き火のてっぺんに魔女の人形を立て、“魔”の象徴として焼き払うところもあります。これは、魔女狩りの名残とも言われています。

 

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また、焚き火を飛び越る恋の占いも。
開放的な6月に出会いも多く、結ばれるカップルも多く、その影響か、北欧には3月4月生まれの人が多いのだとか。
夏至の前夜には、魔力が潜む!?

 

寒くて暗い長い冬、屋外に出て活動する機会が少ないため、身も心も閉鎖的になり、病を煩う人も少なくないといいます。太陽がなかなか顔を出さない冬こそが、人々にとっての“魔”ではないでしょうか。夏至を境にまた日が短くなっていく・・・“魔”に襲われる前に焼き払う、願いを込めて人々は大きな焚き火の炎を見守ります。デンマークの友人は、親しい人とおしゃべりをしながら炎を見つめていると、安らぎと、共に生きる強い絆を感じると言っていました。

北欧の人々が、夏を待ちわびる心境は、私たち日本人の想像を遥かに越えていることでしょう。一分一秒でも長く陽の光を浴びていたい。北欧の夏至祭の盛大さは、キリスト教が布教する以前の太陽崇拝を起源とし、太陽への憧れを物語っています。

この日を過ぎると、足早に夏が去っていってしまうことを心のどこかで知りつつ、太陽への愛おしさ込めて過ごす夏至の日。ちょっとせつなくもあり、一年の中で最も輝く濃厚な一日となります。
今年の夏至の日は、大事な人と日の長さを楽しむ過ごし方をしてはいかがですか?

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