【お役立ちコラム】穴を開ける?開けない?スプレー缶事故を防ぐために
2018年12月19日 更新▲スプレー缶に穴を開けて捨てる」は、家庭ゴミの捨て方として防ぐためにるものですが、最近では、「開けないで捨てる」自治体も増えてきています。鍋料理などで使用頻度も増えるカセットボンベも含め、スプレー缶はどのように処分したら良いのでしょうか?
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12月16日夜に起きた札幌市の爆発事故。建物が倒壊し、42人もの人が怪我をするなど、大規模な事故になり驚きました。死者が出なかったことはまさに不幸中の幸いと言えますが、事故の原因として、120本のスプレー缶を廃棄するために中身を放出し、湯沸かし器をつけた際に爆発が起きたということが明らかになりました。一度に120本というのが仰天の数なのですが、実は、可燃性ガスなどが入ったスプレー缶やカセットボンベが原因となる火災は、暖房器具やカセットコンロを使用する冬場に頻発しています。
スプレー缶による事故例(国民生活センター)
【破裂】
自宅で、ヒーターのそばに置いてあったヘアスプレー缶が爆発し、カーテンが燃えたり 窓ガラスが割れたりした。火は自分で消した。右手背、顔面にやけどを負った。けがの程 度は軽症であった。(50歳代・男性)
【引火】
やかんに火をかけているコンロの近くで、スプレー缶のガス抜きを行ったら引火した。 顔面、右上腕~手背、左前腕~手背、前胸部にやけどを負った。気道熱傷はなかった。け がの程度は中等症であった。(40歳代・女性)
【穴開け作業中】
ガスコンロに火がついているそばで、消臭スプレーの使い終わったものに穴を開けたと ころ、内容物に引火して右手や前胸部にやけどを負った。右手に水疱が2カ所あり、熱傷2 度、熱傷範囲1%。前胸部から顔面にかけて浮腫性の紅斑あり、熱傷1度、熱傷範囲4%。 けがの程度は軽症であった。(60歳代・女性)
車の塗料スプレー缶をごみに出そうとして穴を開けたら、穴を開けた部分から塗料が噴 き出し、顔にかかった。目に入って痛くなり開眼できず、救急車で搬送された。けがの程 度は軽症であった。(80歳代・男性)
【凍傷や凍結による事故】
中指でスプレー塗料の噴霧ボタンを押して使用していたら、中指が凍ったように冷たく なり、動かなくなってしまった。慌てて温めて中指が動くようになったが、激しい痛みに なり、膨れた。治療1週間未満のけがであった。(70歳代・男性)
一般的に使用後は「穴を開けて捨てる」が浸透しています。その割には、穴の開け方がまちまちで、正しく処理されていないことも引火事故の原因になっています。ニッパーで切り込む、ハンマーで叩く、釘を打ち込むなどは、中身が噴射し大変危険です。その一方で、穴の開け方がわからない、面倒、知らなかったなど、 穴を開けず中身が残ったまま廃棄すると、ごみ収集車やごみ処理施設が火災になる危険 が生じます。
これまで、回収時の爆発事故を防ぐため、「穴を開けて捨てる」ことがルール化されていましたが、
その廃棄時の穴開け作業中の火災や爆発事故、中身の噴出事故が相次ぎ発生したことを受け、2009年から環境省は、「穴開けをしない方向が望ましい」という通知を出しています。今回事故が起きた札幌市も、缶に穴を開けないよう要請を出していました。今のところ、自治体によって「穴を開ける」「開けない」は、様々です。穴を開ける、開けない、穴開け作業時、回収時、どちらにも危険が及んでいるんですね。
どうしたらいいのでしょうか?
国民生活センター及び、日本エアゾール協会によると、
スプレー缶は、廃棄する際に穴を開ける・開けないにかかわらず、中身の可燃性の残存ガ スを完全に出し切っていれば、引火・爆発や火災などの危険は生じない。
ということです。
そこで、事故を防ぐにはどのように処分すれば良いのか、正しい穴の開け方など、日本エアゾール協会のHPから引用して、お伝えいたします。
※必ず風通しの良い屋外などで作業するようにしてください。
◆スプレー缶にはガス抜きキャップがついている
意外と知らない方が多いのではないでしょうか?
どんなスプレー缶にもガス抜きキャップがついています。
使用例1)
※スプレーの噴射口のタイプによって様々あるので、確実ご確認ください。
◆正しいごみへの出し方
お住いの自治体では、穴を「開ける」のか「開けない」のかを一度ご確認ください。
あまり報道で知ることはありませんが、中身の残ったスプレー缶、カセットボンベがゴミに出され、ごみ収集車両、処理施設でも火災が発生しているということです。
日本エアゾール協会でも、スプレー缶・カセットボンベは、必ず中身を使い切るよう促しています。
中身を空にする為に、ニッパーやハンマー、釘などを使用するのは大変危険です。地域のごみ出しルールを守って出すようにしましょう。
出典:
国民生活センター「スプレー缶製品の事故に注意」
一般社団法人日本エアゾール協会