世界の台所を歩く。おいしい市場、6つの旅
2026年08月24日 更新▲旅先で、その土地の日常にいちばん近づける場所。それは、市場かもしれません。色とりどりの野菜や果物、土地ならではのチーズやスパイス、焼きたてのパン。威勢のいい呼び声が飛び交う店先には、観光名所とはひと味違う、いつもの暮らしがあります。何百年も街の食卓を支えてきた市場もあれば、世界中から集まった食文化が交差する市場も。今回は、ヨーロッパからアジア、アフリカ、メキシコ、オーストラリアまで、世界をぐるり。おいしいものと、その街らしさに出会える6つの市場を訪ねます。
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ロンドンの胃袋を1000年支えてきた市場
◆バラ・マーケット(Borough Market)/イギリス・ロンドン
ロンドン・ブリッジのたもとで、約1000年前から続く食の市場。かつては穀物や魚、野菜、家畜などが売買され、19世紀には青果の一大卸売市場として発展しました。現在は、英国各地の野菜や果物、チーズ、パン、肉や魚をはじめ、世界各国の食材やストリートフードがずらり。歴史ある鉄道高架の下を歩けば、焼きたてのパンやスパイスの香りが漂い、あちこちで目移りしてしまいそう。ロンドンの食文化を味わうなら、空腹で訪れたい市場です。

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目移りしそうな美味しいものが勢揃い!英国らしさを味わうなら、まずはポークパイやスコッチエッグを。チーズ好きなら、人気店「Kappacasein(カッパカセイン)」の熱々チーズトーストも見逃せません。食べた後は、店主がロンドンで手がけるチーズをお土産にするのもおすすめです。紅茶なら専門店「Tea2You」へ。香り高いダージリンやアッサムなどを選べば、帰国後も旅の余韻を楽しめそう。市場は3つのエリアに分かれているので、専門店をのぞきながら歩き、最後はストリートフードが集まるBorough Market Kitchenへ。混雑を避けるなら、平日か早めの時間がおすすめです。
Borough Market 公式サイト
https://boroughmarket.org.uk/
海を渡れば、そこはイスタンブールの台所
◆カドゥキョイ市場(Kadıköy Market)/トルコ・イスタンブール
ヨーロッパとアジア、二つの大陸にまたがるイスタンブール。旧市街などがあるヨーロッパ側からフェリーに乗り、ボスポラス海峡を渡った先に広がるのがカドゥキョイです。市場とその周辺には、色鮮やかな野菜や果物、魚、オリーブ、チーズ、香辛料などを扱う店が軒を連ね、地元の人たちの買い物風景がすぐそこに。観光名所を巡るのとはひと味違う、暮らす人のイスタンブールに出会えます。海から街を眺めながら向かう時間も、この市場旅の楽しみです。

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まずは、ずらりと並ぶオリーブや白チーズ、香辛料を眺めながら市場をぶらぶら。小腹が空いたら、目の前で生地をのばして焼き上げるギョズレメを。チーズやほうれん草などを包んだ、素朴なトルコの味です。名物のサバサンドや、薄い生地にひき肉などをのせて焼くラフマジュンも見逃せません。甘いものなら、トルコ菓子のロクムはぜひお試しを。お土産には香辛料やトルココーヒー、チャイなど、旅の味を持ち帰れるものを。市場だけで完結させず、昔ながらの食料品店やカフェが点在する周辺の路地まで歩くのがおすすめです。帰りもフェリーに乗れば、夕暮れの海とイスタンブールの街並みが一日の締めくくりに。
GoTürkiye|Kadıköy 公式観光サイト
https://goturkiye.com/istanbul/kadikoy
迷い込むほど楽しい、色と香りの迷宮へ
◆マラケシュのスーク+ジャマ・エル・フナ広場/モロッコ・マラケシュ
城壁に囲まれた旧市街・メディナへ一歩入れば、そこはまるで迷宮。細い路地の両側に、色鮮やかなスパイス、陶器、ランプ、絨毯、革製品などを扱う小さな店がひしめき、職人の仕事場にも出会えます。どこからともなく漂う香り、値段交渉の声、きらきら光る金属細工――地図通りに歩くより、迷うことまで楽しみたくなる場所です。そして夕暮れが近づいたら、メディナの中心、ジャマ・エル・フナ広場へ。昼とは違うマラケシュの顔が現れます。

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日が傾くと、ジャマ・エル・フナ広場にはずらりと屋台が並び、あたりは一気においしい香りと熱気に包まれます。ぜひ味わいたいのが、壺に肉や香辛料などを入れてじっくり火を通すマラケシュ名物「タンジーヤ」。モロッコ料理の定番タジンやクスクス、搾りたてのフルーツジュースも楽しみです。お土産探しはスークへ戻って、ラス・エル・ハヌートなどの香辛料、陶器、バブーシュ、ランタンなどを。値段交渉もスーク文化の一部。急いで買わず、店主とのやり取りまで楽しみながら、お気に入りを探してみましょう。
モロッコ政府観光局
マラケシュのショッピングとスーク
https://www.visitmorocco.com/en/travel/marrakech/shopping
二つの市場をはしごして、オアハカの味を丸ごと!
◆ベニート・フアレス市場+11月20日市場/メキシコ・オアハカ
オアハカ旧市街の中心、ソカロから歩いてすぐ。隣り合う二つの市場をはしごすれば、この土地の豊かな食文化を一度に体験できます。ベニート・フアレス市場には、野菜や果物、チーズ、香辛料、民芸品などが所狭しと並び、地元の人の日常とお土産探しが同居。一方、11月20日市場は食堂や屋台が集まる「食べる市場」。なかでも名物は、肉を選んでその場で焼いてもらう「パシージョ・デ・ウモ(煙の通路)」。その名の通り、香ばしい煙と匂いに誘われます。
オアハカに来たなら、まず味わいたいのが複雑な香りとコクを持つソース「モレ」。名産のオアハカチーズを使った料理や、カカオから作るチョコレートドリンクもぜひ。勇気があれば、香ばしく炒ったバッタ「チャプリネス」にも挑戦を!お土産には、モレのペーストやチョコレート、唐辛子、そしてオアハカ名産の蒸留酒メスカルなど、土地の味を連れて帰れるものが豊富です。二つの市場は近いので、買い物を楽しむベニート・フアレス市場から、お腹を空かせて11月20日市場へ向かうコースがおすすめです。
Oaxaca Travel 公式観光サイト
https://www.oaxaca.travel/index.php/es/?utm_s
果物も惣菜も美しく。ちょっと上質なタイの台所
◆オートーコー市場(Or Tor Kor Market)/タイ・バンコク
バンコクの市場と聞いて思い浮かべる、雑多でエネルギッシュな風景とはひと味違うのがオートーコー市場。明るく整った場内には、タイ各地から届く色鮮やかな野菜や果物、魚介、肉、乾物、調味料などが美しく並びます。なかでも目を奪われるのは、マンゴーやマンゴスチン、ランブータン、ドリアンなど、南国ならではの果物たち。地元の人の台所でありながら、初めて訪れる旅行者にも歩きやすく、「食の国・タイ」の豊かさをじっくり眺められる市場です。

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果物だけでお腹いっぱいになりそうですが、ここは惣菜も充実。カレーや炒め物、魚介料理など、出来上がったタイ料理がずらりと並び、その場で味わえる店もあります。マンゴー好きなら、甘く熟した果肉ともち米を合わせた「カオニャオ・マムアン」もぜひ。お土産には、ドライフルーツやナッツ、カレーペースト、香辛料など、タイの味を持ち帰れるものを探してみましょう。すぐ近くには巨大なチャトゥチャック・ウィークエンド・マーケットもあるので、開催日に合わせれば「食」と「雑貨」、二つの市場をはしごする一日も楽しめます。
オートーコー市場 | 【公式】タイ国政府観光庁
https://www.thailandtravel.or.jp/or-tor-kor-market/
140年以上、メルボルンの暮らしと世界の味が交差する
◆クイーン・ビクトリア・マーケット/オーストラリア・メルボルン
1878年の開業以来、140年以上にわたってメルボルンの食卓を支えてきたクイーン・ビクトリア・マーケット。広大な敷地には、色鮮やかな野菜や果物、精肉、魚介、チーズ、パンなどが並び、衣料品や雑貨を扱う店もずらり。世界各地から人々が集まる多文化都市らしく、ヨーロッパやアジアなどさまざまな食文化に出会えるのも魅力です。歴史ある建物や屋根付きの売り場を歩きながら、観光名所であると同時に、今も地元の人が買い物に通う「メルボルンの台所」をのぞいてみましょう。

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市場歩きのお楽しみは、やっぱり食べ歩き!名物の一つが、ふっくらした生地にジャムを詰めた熱々の「ホットジャムドーナツ」。デリが集まるエリアでは、チーズやハム、オリーブなどを眺めながら、気になるものを少しずつ試すのも楽しそうです。コーヒー文化で知られるメルボルンらしく、市場でひと休みするならコーヒーもぜひ。お土産には、オーストラリア産のはちみつや紅茶、クラフト品などを探してみては。食べ物だけでなく雑貨や衣料品まであるので、時間に余裕を持って、最後はお気に入りを探す宝探し気分で歩きましょう。
Queen Victoria Market 公式サイト
https://qvm.com.au/
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いかがでしたか?
市場に並ぶ食材や料理を眺めていると、その土地の気候や歴史、そこに暮らす人々の日常まで見えてくるようです。名所を巡る旅も楽しいけれど、地元の人に交じって市場を歩き、知らない食材に驚いたり、気になるものをひと口味わったり。そんな何気ない時間こそ、旅の記憶に長く残るのかもしれません。
せっかくなら、キッチン付きのアパートメントや長期滞在型の宿を選んで、市場で買った食材を料理してみるのも楽しそう。見たことのない野菜や調味料をひとつ買って、その土地の味を自分の台所で再現してみる――そんな旅も素敵です。次の旅では、観光スポットをひとつ抜け出して、その街の「台所」へ。お腹を空かせて出かけてみませんか?
